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88話・勇者を殺す…意味と真実


アベルのレーザー光線は、フェルゴールの映像にも映され。

その映像越しから、紅の閃光を見て…

ミュウの全身に鳥肌が立った。


 ノドの地とアポカリファでは、こんなにも離れているのに。

異世界からきた「死の存在」を…ハッキリと感じてしまう。


 異質な恐怖によって、ミュウの表情が固まるが。

そんな彼女とは、対照的に…

カイルの方は、普段通りに平然としていた。


 カイルは、遠い眼差しで語り始めた。


「勇者を、殺す理由はですね」


何故、勇者を殺すのか?その真実を…


「黒騎士や魔王の『障害』になるから…」


自分で言いながら、クスっと…鼻で笑う。


「そんな、三流の茶番じゃありません」


その台詞は遠回しに…

勇者と魔王の決戦を「おふざけ」と言っていた。


「アベル…ですよ…」


「彼の復活を阻止する為、だったんです」


 なんとあろうか…

彼女カイルの目的は「アベルの復活」を阻止する事だと…言うではないか。


 


 聖天使アベルの謎が、少しずつ紐解かれてゆく。

人々の信じる「正義の天使」など、存在しないこと。


 そして、アベルの正体は…

あらゆる生命を殺し尽くす「殺戮マシーン」ということ。


 恐怖のパズルが、少しずつ完成に近づき。

ミュウは「一つ」だけ疑問を抱いた。


「………どうして………」


 そんな疑問を、緑髪の悪魔カイルは嘲笑う。


「は?どうして?」


カイルが刺々しく、ここにいる人間ミュウに言葉を吐く。


「あなた方、お猿さんでしょう?」


「いつも、いっつも…面倒を、ほじくり返すのは」


 確かに、アベルは「停止」していた。

その正体が、狂気の塊であっても…

アベルの方からは、問題を起こす事はなかった。


 そう、人間なのである…

勝手に「希望の聖天使」と崇めたのも。

勝手に「穏かな眠り」を妨げたのも。


「お子さま勇者のチート能力」


 カイルは、チートという概念を見下すように。

勇者たちの「力の意味」を説明した。


「材料なんですよ…貴方たちの『チート(力)』は」


「アベルを…SSを…起動する為の…ね」


 つまり…

この世界、グリモワーツにおける勇者とは。

世界を守る…正義の使者などではなく。


 生命殺戮機構…通称『SS』を起動させる為の生贄(素材)であった。


 カイルは、呆れながら…

世界そのものを、見下し嘲笑った。


「まったく…」


「正義も希望も、愚か者の口実でしかないのに…ね」







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