86話・生命殺戮機構
ノドの地にいる誰もが…
聖天使アベルの復活に注目していた。
とくに、漆黒騎士ガイアは、機械巨人の姿に。
異質で「不気味」なモノを感じた。
このまま、傍観する訳にはいかない。
聖天使と勇者の撲滅こそが…黒騎士の目的なのだから。
「一気に決めるぞ…勇者もろとも消せ」
ガイアの命令が下り。
黒騎士たちの軍列が、一斉に急降下。
正義と希望の天使が、目覚めたとしても。
黒騎士たちが、機械巨人を一瞬にして包囲した。
この危機的状況を、察したのか?
聖天使アベルが、ついに動き出した…
脚部アーム(足)大きく上げて。
戦いに赴くための「一歩」を遂に踏み出す。
そんな天使の歩く姿を見て。
ウェインは喜び…正義と勝利を確信した。
「さあ!偉大なる正義の使者よ!」
「正義の鉄槌を、下したまえ!」
しかし…このとき。
アベルの脚が…
ウェインの頭上で、ピタリ…と静止した。
そして。
グシャリ…
肉体が潰れる音が、辺り一帯に響き渡った。
そう、この瞬間…
聖天使アベルが、勇者ウェインを「踏み潰した」のである。
このアベルの狂気によって。
幻獣たちも、勇者ドラゴも…そして、敵である黒騎士たちも…
皆が一斉に、恐怖し震え上がった。
フェルゴールの映像にて。
ミンチ(肉片)と化した…仲間の姿が映された。
この映像を見て、ミュウの不安が膨れ上がった。
アベルの挙動に、皆が恐怖を抱いているのに…
カイルは平然としながら「解説」を始めた。
ついに、彼女の口から、聖天使アベルの「真実」が綴られてゆく。
「サイバー・ソフトウェア」
「私は『SS』と呼んでます」
この世界に、存在する事のない「言語」。
「アベルの『正式名所』は…ですね」
「生命殺戮機構」
その役目は…すなわち…
「生命体の『殺戮』ですね…」
…生命を…殺戮…する?
カイルによって「アベルの真実」が紐解かれてゆく。
この真実を知った瞬間…慈愛の勇者ミュウは青ざめた。
ドラゴがっ!危ないっ!




