85話・聖天使アベル
「フュージョンコア・キドウ」
金属巨人の胸部ユニットが変形…そこから更に「丸型の球体」が現れた。
未知の存在の「目覚め」に、皆の思考が吸い込まれてゆき。
ユニコーンや人魚、そして…妖精も。
ドラゴもウェインも…敵側の黒騎士群も…皆が揃って「実感」していた。
この「人型二脚ロボット」こそが…正真正銘『聖天使アベル」なのだと。
全長200mの天使が復活し。
天使の勇者ウェインは、純粋に喜んだ。
それは当然。
彼にとって、アベルは全てであり…正義そのものなのだから。
アベルは、泉の中をゆっくと歩み。
泉の外…ノドの地の陸地へと、巨大な脚部アームをめり込ませた。
一方、魔王城では…
フェルゴールの映像にて。
巨大な人型ロボットの姿が、ハッキリと映し出された。
ミュウは、これまでの人生において。
「機械の巨人」など…見たことも、聞いたことも無かった。
ゆえに、未知の存在の姿を目にして、恐怖感を抱いた。
「あれが…アベル…」
アポカリファから、ノドの地は遥かに遠い。
だが、しかし…離れていたとしても。
映像の中から、アベルの圧力が、十二分に伝わってきた。
映像には、子供のように、はしゃぐウェインの姿…
彼が興奮しながら、アベルの元へ近づいてゆく。
カイルとフェルゴールは、平然としており。
急展開な映像を、顔色一つ変えず鑑賞していた。
「ねえ、カイル…」
ミュウはふと思い…緑髪の悪魔に問う。
「はて、なんでしょう?」
きっと、問い詰めたとしても。
真実たる答えは、返ってこないだろう…
それでも、ミュウには「知る」権利があった。
この世界グリモワーツを守る「勇者」として…
「これから、どうなっちゃうの?」
「どうなるか?」
真剣な問いに対して、返答は一言のみ。
「退屈な『お片付け』ですよ」
お後片付け…
その真意は、ミュウには分からない。
それでも、カイルが「無責任な嘘」を、言うとも思えなかった。
そして、カイルは、紅の瞳を尖らせて。
「さて、ミュウさん…お待たせしました」
「聖天使アベルの『話し』をしましょう」




