83話・目覚めの時
この頃、アポカリファの魔王城。
フェルゴールの映すスクリーンにて。
金属の塊に立つ…ドラゴの姿があった。
ノドの地の出来事を…
カイルとミュウは、鑑賞しているものの。
カイルの表情は冷たく。
どこか、遠い眼差しをしていた。
そんな、彼女の横顔を覗きながら。
ミュウは、ドンヨリとした不安を感じてしまう。
この不安は…
黒騎士の脅威に対するモノではなく。
映像にある「金属の塊」に対しての不安だった。
だから、カイルに聞こうと思った。
アレ(金属の塊)の正体を…
そんな心情を見透かしたように。
カイルの方から、事の真実を口にしてくる。
「アベルはですね…」
「生命の味方でも、聖なる天使でも…ありません」
この女は…カイル・マックストーンは知っている。
謎に包まれた、アベルの正体を。
ドラゴは、金属の塊へと登り。
その頂上で…聖剣ヨハネを高々と上げた。
そして…
人類(正義)への「希望の一手」。
聖剣ヨハネの刃先を、金属にへと突き立てる。
彼の行動に気づき。
黒騎士たちの動きが、荒々しくなる。
「チビ野郎、なにをする気だ!」
圧倒的な弾幕の嵐が襲いかかり。
もはや、ドラゴ一人で、どうにかなるモノでもなかった。
壊滅的な状況であっても。
ドラゴの視線は揺るがず「つぎの一手」に全てを注ぎ込んだ。
「おおおおおおおおおおおおおお!」
これから先の展開は分からない。
それでも、この勇気が…この選択が…人類の為になると信じている。
いつもは、傍観者のウェインも。
今回ばかりは、果敢な戦士として、声を掲げた。
「正義の天使よ!」
「さあ、目覚めのときだ!」
天使の勇者が、手を掲げて宣言する。
そして…
聖剣ヨハネが、金属の塊に突き刺さった。
ギャィン!




