7話・幼女転生
パッ!パパパーン!
バーン!
大きな爆発音が、鮮やかに響く。
「う、う~ん」
この音によって…意識が少しずつ引き戻され。
悠人はボンヤリと「眠り」から覚めた。
どうやら、この音は「花火」らしく。
近くで祭りが、開催しているようだ。
視界が少しずつ回復して。
何となくだが…周りの状況が見えてきた。
東京の街並みも、工事中の橋も…どこにもなく。
薄汚れた空間だけが、目の前に広がっていた。
ここ…は?
この空間は、個室と言うよりも「牢屋」に近く。
その上、環境は最悪…そこら中、カビだらけで、鼠や害虫が蠢いていた。
牢屋の正面には、金属の檻が並び。
檻の隙間から、外の灯りが漏れている。
その灯りに惹かれて。
悠人は、ヨロリヨロリ…と脚を進める。
このとき何故か?
自分の体が、異様に軽く感じられて。
まるで、翼が生えたような感覚に。
自分の体では、ないのでは?とさえ錯覚してしまう。
そして…
悠人が、檻に近づいたとき。
温かな灯りが「今の彼」を映した。
汚れた床に、悠人の影が現れる。
その影は、男性の背丈ではなく。
もっともっと幼い、六~八歳程の。
まさしく「幼女」と呼べる…小さな人影だった。
幼女の影は、悠人の足元にあって。
コレ(幼女の影)が、自分のモノだと…すぐには、自覚できなかった。
今の姿を、見直すまでは。
服装は、ボロボロの囚人服で。
服と言うより、薄汚い雑巾の方がしっくり来る。
破けた箇所から、白い肌が露出。
小さく滑らかな、子供の手。
脚も短くなって、頭三つ分ほど…身長が縮まっていた。
「え?」
呆然と呟く悠人。
同時に、少女の甲高い声が、口から出てきた。
「…女の…子?」
頭の上で、黒髪が揺れて。
この長髪が、体の一部だと察する。
その姿は、黒髪黒眼の「美」を兼ね備えた少女。
そう…
鈴木悠人は…このとき。
一人の幼女として「転生」していた。