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76話・破綻した契約


 ボタボタ、ボタボタ…と、涙が溢れて。

惨めな男(悠人)の顔が、グショグショになった。


 妻の為になら、何だってできる…と。

体も心すらも、悪魔に売れる…と。

自分自身に誓った筈なのに。


 カイルとの契約「勇者殺し」が果たせず。

最後のチャンスを、逃してしまった。

 もう…希望は、欠片すらも残っていない。

残されたのは、哀れな「負け犬」一人だ。


 絶望する悠人の隣で…

依頼主の彼女カイルは、言葉を綴った。


「運命とは、算数じゃありません」


「運命とは…絵を描くようなものです」


 緑髪の悪魔は、こんな負け犬を受け入れて。

悠人の目線に合わせて、言葉を綴ってくれた…


 そして、カイルは、自覚するように呟く。


「こちらの落ち度でも、ありますね」


この言葉には、謝罪の意も含まれており。


「やさしい『だけ』の貴方に、人殺しなんかムリですよね?」


「契約の内容」を間違えた…と、カイル自ら、悠人に謝罪をした。


 悪魔が契約者に「我々は間違った」と頭を下げた時点で…

二人の契約は、とっくに「破綻」していた。


「魔王ハルバートは、もういません」


「鈴木悠人として、明日を…歩いてください」


 そんな言葉を残して。

緑川…カイル・マックストーンは、この場を立ち去る。


 そして、カイルは公園の出口に着くと、悠人の背中に大声で呼びかけた。


「悠人さーん!そこのベンチ!見てくださいねーーー!」


突然、大声で「ベンチ(椅子)を見ろ」と言われて。

悠人は釣られて、振り返ってしまう。

 

 だが、しかし…

彼女カイルの姿は、どこにも見渡らず。

夜中の公園に、惨めな男だけが取り残された。


 その後…悠人は、カイルに言われた通り。

公園の片隅にある、ベンチの元へ向かった。


 このベンチ(椅子)は、とても小さく古臭いけれど。

叶が大好きな特等席だった…


「これは?」


 ベンチの上に「何か」が、置かれているのに気づく。

それは、叶の無くしモノであり。

彼女が愛用していた「筆ペン」だった…




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