70話・黒騎士会議
邪悪なる黒騎士たちは、円卓の台を囲みながら…
「今後の作戦」について議論していた。
議論の内容は主に、敵(勇者)の動向についてで。
結論の出ないまま…口論が泥沼化していた。
この様子からして、重要な会議に違いないが。
一番のトップ「魔王ハルバート」の姿は見当たらず。
魔王が不在のまま…この会議は行われている。
漆黒騎士ガイアを中心に、黒騎士たちは案を交わしてゆき。
一方…ロボット騎士フェルゴールは、言葉を発する事なく。
とある少女の後ろで、モノアイ(視線)を動かしていた。
その少女は、軍服の少女…カイル・マックストーンであり。
紅の瞳を尖らせながら、事の流れを観察していた。
漆黒騎士ガイアは、知略にも優れており。
勇者の動向を、容易に予測してみせた。
「ノドの地だ…」
「奴らは『ノドの地』に向かう」
ノドの地という単語が出て、場の空気が粗ぶる。
この様子からして…
黒騎士が「ノドの地」を毛嫌いしているのは明白。
嫌々な部下をお構いなしに。
ガイアは淡々と、自らの予測を語った。
「逃げた勇者は、二匹」
「追い込まれた鼠が、何をするのか?」
もし普通の鼠が、猫に追い込まれたなら…狩られるのを待つだけだろう。
しかし、相手は勇者…つまり「特別」な鼠。
ゆえに…
「奴らは違う。ライオンを味方にして…狩人を払う」
ガイアの言う「ライオン」とは?
その答え(正体)を、皆が察していたが…
黒騎士たちは、ソレを口にするのに躊躇していた。
すると…
だんまりを貫いていた緑髪の少女…カイルが、ようやく口を開いた。
「…アベル…」
一切の迷いもなく、その名が呼ばれ…
黒騎士たちの視線が、一斉に彼女へ集結してゆく。
「聖天使は、何世紀も眠ってらあ」
「ああ、アイツらに何ができるよ?」
黒騎士たちが言うには。
聖天使アベルは、遥か昔に「永き眠り」についており。
生命の大地「ノドの地」に囚われているらしい。
つまり、聖天使の目覚めなど有り得ないし…
人類にとっての「正義の希望」は、夢幻に過ぎなかった。




