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66話・悪は負ける


 光速にて進むときの中…

ドラゴの思考が、恐ろしいほどに回転する。


ウソだ…どうして、こんな所に…


 暴走する聖剣が、ミュウにへと襲いかかり。

もはや、その攻撃を、中断するのは不可能だった。




 幼女魔王…悠人は、勇者の必殺を躱しながら。

一人の「部外者」の存在に感づいた。


「ミュウ?!」


 光速で進む、危険な領域に…

無警戒に近づいてくる、純粋な女の子。

穏やかに揺れる、ピンク髪のポニーテイル。


 勿論、彼女は…この危機的状況に気づいていない。


 達成するべき目的は「勇者の根絶」。

だったら、このまま…ドラゴとミュウの「同士討ち」を傍観するべきだ。


 そう、これはチャンス。

誰かを殺す必要もなく、敵から自滅してくれるのだから。

悠人にとって、最高の好都合だった。


 なのに…その筈なのに。


 誰かが死ぬ…

その現実が、お人好しの心情を揺るがせた。

 鈴木悠人にとって、ミュウは赤の他人。

東京(現実)に帰る場所がある彼にとっては…決して交わる事のない、異世界の住人なのだ。


 頭では、理屈では、分かっているつもりなのに。

やはり、この「お人好し」は…無我夢中で、幼女の体を突き動かした。


 小さき魔王は、最も愚かな行為に走る。

それはきっと、平凡で不器用な「お人好し」の選択。


 理屈や理論なんかじゃなく…


たった一つ「助けたい」という一心で動いた。



 そして、聖剣ヨハネが「女の子」を貫いた。

ただし「貫かれた」のは、ミュウではなく。

憎むべき宿敵…魔王ハルバートだった。


 黄金の刃が、幼女の体を貫通。


悠人も、剣で刺された…と自覚する。


ッツ!ドォウーーーーーン!


 聖剣ヨハネが、魔王ハルバートを討ち。


次の瞬間には、衝撃波が失楽天を揺るがし。

ギャラリー(黒騎士たち)が、虫けらのように吹っ飛んだ。



「?!ッ…ハルト!!!」


 ミュウの目の前で、幼女の黒髪が揺れる。

突然の展開に、彼女は驚きの声を上げた。

事の展開が早すぎて、彼女は唖然としているが。


 何らかの事故で、ドラゴの攻撃が、こちらに向いた事。

そして、この事故から、悠人が、自分を守ってくれた事。

 これらの結果だけは…

黄金の剣に貫かれた…幼女の姿を見て理解できた。







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