53話・極悪の決意
勇者を殺す理由…
そして、聖天使アベルとは?
これらの「真実」が語られようとしたのに。
フェルゴールが割り込んで。
「真実」から話題が逸れてしまった…
紅の瞳をロボット騎士に移すも。
話が中断したせいか?カイルは、どこか苛立っていた。
「なんですか?鉄クズさん。ガチャガチャ騒いで」
ツンとした彼女を前にしても。
フェルゴールは構わず「事の展開」を説明する。
「勇者だ…」
「勇者たちが、攻めてきた」
そんな、彼の報告に。
真っ先に反応したのは、この場にいる勇者…ミュウだった。
彼女は、ゴクリ…と息を飲み「仲間の無事」を祈り、胸に手を当てた。
ミュウの感情は、悠人にだって理解できる。
だが、しかし…妻を救う為ならば。
感情そのものを、悪魔に売らねばならない。
ゆえに…
「勇者殺し」の真実は、定かではないけれど。
この「幼女の手」を血で染めるのだ。
フェルゴールの情報によると。
「三人の勇者」が、このアポカリファ(魔王の領域)を襲撃しており。
黒騎士の先鋭部隊を、次々となぎ倒しているらしい。
また…彼ら(勇者)の力は、以前とは桁違いで…黒騎士と互角か?それ以上との事。
勇者の優勢によって、危機的状況ゆえに。
切り札である「漆黒騎士ガイア」も、すでに出撃している様子。
フェルゴールは、一連の展開を説明してから。
極悪の主にへと…決断を迫った。
「極悪非道の権化さま」
「ぜひ、偉大なる決断をどうぞ」
ついにやってきた…決断(選択)の一瞬。
やるか?やらないか?
沈黙の静寂が、悠人(幼女魔王)の答えを待つ。
幼女の拳を、絞るように握りしめ。
丸っこい瞳を、刃物の如く尖らせてから…愚か者は「大切な人」の為に決断をした。




