45話・幼女魔王の名は?
悠人の承諾によって、更に空気が重くなった。
そんな重々しい空間の中。
カイルは上機嫌そうに、クルクル…と扉の前で回り。
そして、ピタリ…と踊るのを止めてから。
「極悪魔王さま~それっぽい『名前』が欲しいでしょう?」
紅の瞳を細め「一晩、考えてみました」と嫌らしく笑い。
清々しい程のドヤ顔で、悠人を指さした。
「ハルバート・シュバルツ・ハイツ」
何だか、良く分からない…片仮名だらけの名で呼ばれて。
思考は置いてきぼりのまま、悠人は、唖然としてしまう。
そんな男にお構いなく、カイルは満足気に言葉を並べる。
「悠人さん、このルートから貴方は」
「極悪非道の魔王…ハルバートです」
緑髪の悪魔は、今後の展開を、自分勝手に語り始めた。
「悠人さんは『異世界転生』を、ご存じでしょうか?」
そう聞かれても、彼にとっては。
ファンタジー(異世界)の話など、ぼんやりとしか分からず。
想像力に乏しい、悠人が知っている「異世界転生」とは…
文化も風貌も、日本(東京)と、かけ離れた地へ行く事。
そして…
異世界に行ったなら、元の世界(現実)には…
「はい、そうですとも」
凡人(悠人)の考えを繋ぐように、彼女が解説を続けてゆく。
「『テンプレ』は、異世界に行ったら。二度と、現実には戻れませんが…」
カイルは、胸を張って誇らしげに語り始めた。
「私が組んだシステム…異世界転生は、そんな辺鄙な作りじゃありません」
「行く事も、そして『帰る事』も、可能なんですよ」
彼女の説明によると、どうやら…
異世界と現実(東京)を、行き来する事が出来るらしい。
異世界に転生しても…一応、東京に「帰る事」ができる。
それを聞いて、とりあえず…
「叶を、置き去りにせずにすむ」と、悠人は一安心した。




