34話・極悪魔王はロリ幼女
ロボット騎士フェルゴールは、膝をつきながら。
悠人(幼女)を「魔王さま」と、大袈裟に称賛した。
「こんな、低次元など…魔王様には相応しくない」
邪悪なる魔王に、相応しい場所がある…と。
フェルゴールは、身勝手に語り始めた。
「極悪非道、まさしく悪の領域!アポカリファ!」
彼が言うには。
どうやら「アポカリファ」という所が、魔王の居場所らしい。
「きっと、ご満足、頂けますよ」
ちっこい豆粒のような「幼女」が魔王。
その事実は、勇者にとって衝撃だった。
とくに、勇者の中でも。
ドラゴが一番、動揺しているらしく。
倒すべき「宿敵の正体」がまさか…小さく幼い子供だなんて。
と言っても、動揺しているのは、ドラゴだけらしく。
ヨハネとウェインは、相手が何であれ。
勇者として、純粋な敵意を、黒髪幼女に向けていた。
そして、黒騎士隊の方は…
漆黒騎士ガイアを含め、配下の黒騎士たちも皆。
魔王に対して、嫌悪感と不信感を抱いていた。
それは当然…
仕えるべき主人(極悪の魔王)が、ロリ幼女だなんて。
最強の黒騎士たちが、受け入れる筈がない。
もはや、この場において…
ロリ魔王を認めているのは、胡散臭いロボット騎士だけだった。
冷ややかな空気が、幼女魔王に圧しかかり。
そんな、空気の中…軽やかな足音が、トテトテと、近づいてきた。
ソレ(足音)は、一人の少女のモノ。
優しく揺れるピンク髪のポニーテイル…慈愛の勇者「ミュウ」だ。
ミュウは、世界が救われた事を喜び。
「みんな」を守ってくれた、小さな幼女に、心から感謝していた。
幼女魔王の元に行き…純粋な「ありがとう」を伝えようとする。
迂闊な彼女を、ドラゴは止めようとするが。
どうしてだか?…この魔王から、危険は感じられず。
ミュウを止めるのに、躊躇してしまった。
慈愛の勇者は警戒が緩く。
彼女の行動に、いち早く反応したのは悠人ではなく…
よりにもよって、ガイアの方だった。
ガイアは殺伐としながら、二人(悠人とミュウ)の間に割り込むと。
その凶悪なる手で、ミュウに襲いかかった。
「ちっ!ガキがッ」
まるで、雑巾を絞るように、彼女の首を絞めつける。
ギュッ、ギギギギギ…
「う…あッ…あ」
息が出来ず、首元が熱くなる…歪む視界の中、ミュウは恐怖を感じた。
「やめろ!やめてくれっ!」
幼馴染が窮地に立たされて。
ここでようやく、ドラゴが飛び出した。
幼女魔王に油断して、呆けていた自分が情けない。
仲間の危機に、ヨハネとウェインも後に続く。
だが、ミュウは絶望的。
その表情から、血の気が引いており。
明確な「死」が、彼女の命を刈り取ろうとしている。




