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33話・魔王が降りた日


黒騎士の軍勢に、三人の勇者。

両者に挟まれながら、幼女(悠人)は棒立ちしている。


 今の姿(黒髪幼女)なら…

視界を動かさずとも「あらゆる情報」を熟知できた。

ゆえに、悠人には感覚だけで、誰が勇者なのかも見通せた。


 今現在、幼女の背後にいる…少年三人。

彼らこそが、始末するべき「対象」だと確信する。

 勇者を殺さねば、妻は救われない。

残酷な契約が現実と分かり、悠人の思考が停止してしまう。


 一方…漆黒騎士ガイアは。

謎の幼女の乱入に、殺意と闘志を燃やしていた。

燃え上がる闘争心を抱えて、幼女の前に立ち塞がる。


 両者の体格差は倍以上。

それにも関わらず、悠人の表情は揺るがない。

 

 この姿(幼女)の状態なら…

相手の『戦闘能力』を、隅々まで見通せた。

 

 ゆえに、ガイアこそが、史上最強だと理解できたし。

きっと、ガイアならば、惑星一くらい、簡単に破壊するだろう。

 それ程の脅威に、殺意を向けられても。

悠人の感情に、恐怖の概念が、生じる事はなかった。


 気色悪い幼女を睨み…ガイアの気性が粗ぶってゆく。


 史上最強であるガイアは。

これまでに、幾多もの神々や星々を潰してきた。

それらの戦で、本気で戦った事は一度もない。


 だが、今日…この瞬間だけは違う。

このロリ(黒髪幼女)だけは、全力で潰さねばならない。

 潰すと決めた瞬間。

強烈なオーラ(殺意)が、ガイアから湧き出てゆく。


 確かに、悠人から見ても。

ガイアの「戦闘力」が、各段に上昇していると分かる。


 だとしても、やっぱり…

微塵の恐怖すら湧き上がらず。


こんな黒騎士なんかよりも、叶(妻)の死の方が怖かった。



 最強の漆黒騎士と黒髪の幼女。


両者の間にて、禍々しいオーラが渦巻き。

この二人の間には、誰の介入も許さない。


 だが、こんな空気に、第三の乱入者が降りてきた。


 スラスター(ジェット音)音が、夜空に響いて。

脚部アームが、ゆっくりと着陸…

その乱入者は、二人(ガイアと悠人)の間に割り込んだ。


 金属フレーム(装甲)の体、円盤型の頭部ユニット。


黒騎士「フェルゴール」が、幼女の元へ降り立つ。


 牢獄にて破壊された「右半身」は、完全に修復(再生)しており。


 ついさっき交戦した相手に。

悠人は警戒するも、次の展開は予想と離れていた。


 フェルゴールは、膝を落としてから…

機械の頭部で、ロリ幼女に頭を垂れた。


「異次元の者よ」


「貴方が…アナタこそが」


嬉々とした電子音(声)が、ロリ幼女に敬意を払う。


そして、この瞬間「鈴木悠人」を…



「極悪の魔王である」



『魔王』だと…宣言した。







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