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26話・優しい感覚


チェーンソーの刃が高速回転。


ウィーーーーーン


フェルゴールは、ミュウを粉砕するべく。

ピンク髪の頭へ、その凶器チェーンソーを振り下ろした。


 回避する猶予など無い。

迫りくる「死」に、ミュウは恐怖を抱いた。

 

 ギュッと瞼を閉じ「悔しさ」を噛みしめる。


それは、悪(黒騎士)に敗れた「敗北感」ではない。

誰も「救えなかった」という後悔だ。

 誰かの苦悩に、寄り添いたいと願い…

彼女ミュウは、この道を選んだ。


 それなのに、誰一人…救えずに、終わってしまうのだ。

黒騎士のせいでも…魔王のせいでもなく…

「無力」な自分を恨みながら、彼女ミュウは死を受け入れた。


 だが、しかし…


バァッ!キィーーーーーーン!


つぎの瞬間、金属の爆発音が響き。

そこに、ミュウの死は無かった。


 粉々になった金属の破片が、床へと落ちてゆき。

フェルゴールは、唖然としてしまう。

そう、爆散した方は、ミュウではなく…

彼のチェーンソー(左手)だったからだ。


「?!ッ………」


 ロボット騎士の左手が、瞬く間に木端微塵。

武器チェーンソーどころか…腕そのものが、鉄クズと化し。

損失した左肩から、配線が剥き出しになる。


「なにが、おきた?」


 電子音の声は、混乱しているものの。

現状を整理するべく、モノアイを動かした。


すると、フェルゴールは、とある「小さなモノ」に気づいた。


 小さなソレは「幼女」の形をしており。

黒の長髪を、なびかせながら…こちらに背を向けて。

豆粒のような体で、慈愛の勇者を守っていた。




 ミュウの耳にも、金属の爆発音が聞こえていた。

しかし、その猛烈な音とは真逆に…

温かく、柔らかい感触が、ミュウの体を包んだ。


 この感覚は、草原に佇む「一本の木」みたいに優しく。

そのやさしさに、惹かれて…ミュウの目が開いた。


 そして、その視界に現れたのは…

自分ミュウよりも、ずっとずっと幼い「黒髪の幼女」だった。


 黒髪幼女は、ちっこい手で…ミュウの頭を抱き寄せながら。

小さな背中を盾にして、彼女ミュウを庇っていた。







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