24話・その腕は変形機構
対するフェルゴールは、微動だにもせず。
騒がしい外敵に、視線を向けた。
そして、左腕のアームを、クイッと上げる。
すると…
ウィン、ウイーン、という…機械の変形音と共に。
フェルゴールの左手が、変形していった。
左手そのものが、みるみる姿を変え。
なんと、そこには…巨大な「レールガン(電子光線銃)」の姿があった。
レールガンから、青白の電流を放電されて。
その影響によって、塵や埃が宙を舞う。
この世界にとって、敵の存在は未知の領域。
だとしても…
正義に燃える、騎士たちは、決して退きはしない。
神々しき大剣を構えて、果敢に突撃してゆく。
燃え盛る闘志を前にしても。
フェルゴールは淡々と、まるで流れ作業のように。
騎士の一人に、レールガンの照準を合わせた。
そして、躊躇する素振りもなく。
ジュッーーーーーーン
たった一発のみ、レーザー光線を放つ。
その弾速は、光りの速度に達し…生物の領域では、反応する事は不可能。
ゆえに「撃たれた」と実感する暇もなく。
騎士の一人が、分解、消滅。
全ての肉体も、神聖なる大剣も、惨めな消し炭と化し。
もはや、影すらも残されていなかった。
瞬きもしない内に、相方が「消されて」しまい。
傍らにいた、もう片方の騎士は戦意喪失。
「ひっ、ご慈悲をぉ」
先程の果敢さはなく…狩人を前にした鼠のようだ。
その震える背中を、ミュウは、不安気に見守っている。
一方、フェルゴールは、相手の恐怖心を堪能するかの如く。
じわりじわりと、距離を詰めてくる。
そして、また「左手アーム」を上げ。
レールガンから、別の形態へと、左腕を変形させてゆく。
モーター音と電子音が連動。
遠距離武器から、近接武器に姿が変わる。
その構造は、巨大な「チェーンソー(電子ノコギリ)」を連想させ。
全体のフォルムも、かなりメカニカルだ。
チェーンソーの刃は、シルバーのフレームによって構築。
幾つも並んだ刃先が、超高速回転して。
強烈な金属音が、更なる恐怖を煽ってくる。
ウィン、ウィーーーーーン
絶望のあまり、騎士の手から、神聖なる大剣が落ちた。
両者の間には、余りにも力の差があって。
もはや、戦いではなく、いじめの類であった。
ゆえに、これ以上…傍観者ではいられないと。
ミュウ自ら、脅威の前に立った。
「やめて!目的は、わたしでしょ!」
人を「守る」為なら、慈愛の勇者は、恐れなどしない。
強固意志と共に、ピンク髪のポニーテイルが力強く揺れる。
だが、フェルゴールは、彼女の意志さえも嘲笑い。
「はっ」
電子音の声で、一つ嘲笑うと。
変形していない、右手のアームで、ミュウを突き飛ばした。
生物のモノ(腕力)じゃない…機械的な力によって。
いとも容易く、ミュウの体が投げられてしまう。
痛みに堪えながら、何とか起き上がるものの。
無慈悲なロボット騎士が、チェーンソーを構えて…
獲物を見下ろしていた。




