23話・金属の刺客
用事を済ませた後。
ミュウは、ここ(牢獄)から、立ち去ろうとするが。
どうやら、この牢獄でも…
何かしらの問題が起きたらしく。
安全を確保するまで、動かないようにと…止められてしまった。
護衛二人は、緊迫しており。
ミュウにだって、事の重大さを、察する事が出来た。
彼ら(護衛二人)は、ただちに戦闘態勢に移り。
神聖なる大剣を、抜刀して警戒する。
「勇者さま、隠れて!」
神聖なる大剣が、正面の入口に向けられる。
その背中から、殺伐とした圧力が伝わってきた。
「さして、脅威ではありません」
「きっと、そこらの盗賊でしょう」
ピリピリとした空気に畏れ。
罪人たちは、牢屋の奥で縮こまっている。
罪人たちのこんなザマに…ミュウは、妙な不安を抱いた。
「ただの盗賊相手に」こんなにも、人々が畏怖するのか?と。
そして、その不安は見事的中。
ジッ、ジッ、ジッ、ジュー
天井の上から、物質を溶かす音が滲み出てきた。
ジュッー、ジュウー
頑丈なる天井が、ドロドロに変形してゆく。
そして…溶かされた箇所は、円形の大穴となり。
天井の中央にて、一つの空間が出来上がった。
その空間(穴)から、歪んだ光りが照らされて。
輝きに導かれるように「一騎の黒騎士」が姿を現した。
鎧と表すよりも、その装甲は「機械的なフレーム」そのもので。
ファンタジー世界の「騎士」というよりも。
SF世界にある『人型二脚ロボット』のソレ(構造)に近い。
このロボット騎士こそ…黒騎士フェルゴール。
彼の目的は、慈愛の勇者を始末する事であり。
自らの目標を果たすべく…
今こうして、牢獄に赴いた訳だった。
円盤型の頭部にて、モノアイ(視線)が動き。
ピンク髪の少女に、照準を定めた。
背部のスラスターを噴かせ。
ゆっくりと、脚部アームを、汚れた床へ着陸させる。
盗賊なんかとは、格が違う…
得体の知れない敵(ロボット騎士)の登場に。
二人の護衛(騎士)は、全神経を尖らせた。
「何が相手でも、この神剣で打ち倒す!」
勇猛果敢な台詞と共に。
神聖なる大剣が、黄金の輝きを放つ。
「さあ、こい!正義の力を見せてやる!」
そんな、たくましい彼らを。
ミュウは後ろから、見守る事しか出来なかった。




