21話・カイル・マックストーン
地面に転がるヘルメット。
露わとなった、その正体は…悠人が出会った事がある「人物」だった。
鮮やかな「緑髪」が揺れ。
幻想的な「紅の瞳」が、こちらを見定める。
なんと、新兵の少女の正体は「緑髪の少女」だったのだ。
この少女の事を、悠人は知っている。
東京の病院で出会い…工事中の橋から、共に落ちた「この少女」の事を。
彼女は確か、病院で「緑川」と呼ばれていた。
「き…きみ、は…」
幼女の声を震わせながら、紅の瞳と視線を交わす。
すると、相手の方から、ペコリ…とお辞儀をしてきた。
そして、その童顔を上げてから。
「カイル・マックストーン」
「えっ?」
突然の台詞に、呆けてしまう幼女(悠人)。
「私のこと(名前)です。適当に…カイルと、お呼びください」
緑川とか…『カイル』とか…
どうも、彼女の名は、チグハグだけれど。
つい相手のペースに乗せられて、悠人は「彼女の名」を呼ぶ。
「か…かっ、カイルッ!」
しかし、まあ…
声までもが「子供」なので、喋る度に混乱してしまう。
一人で勝手に焦る、チビ幼女。
滑稽なその様を、カイル(緑髪の少女)は愉快に観察する。
そして
「お似合いですよ、悠人さん」
サラリ…と、当然の如く。
カイルは、幼女の事を「悠人」と呼んだ。
どうして?彼女が、自分の名前を知っているのか?
奇妙な相手の言動を前に、つい幼女の肩に力が入る。
「どうして、僕の名前…」
しかし、カイルは、悠人の疑問に答える事なく。
更なる「話題」を持ち出してきた。
その話題とは…
「叶さんは、お元気ですか?」
まさか、彼女の口から、妻の名前が出てくるなんて。




