20話・囚われた幼女
幼女として「転生」した悠人…
その小さな耳に、大きな悲鳴が聞こえてきた。
ソレ(悲鳴)は、恐怖に染められた人々の声であり。
この牢屋から離れた「どこか遠く」から、聞こえてきた音だった。
こんな遠くの音は、普通の人間には聞き取れない。
だが、この姿(幼女)であれば。
遠くにいる人々の声を、聴き分ける事ができた。
ゆえに、悠人は「外の状況」を察する。
人々が、何かしらの脅威に、襲われている…と。
こんな牢屋なんて、知らないし。
今、この瞬間が…夢か?現実か?
それすらも、理解できなかった。
しかし、その身が「黒髪幼女」に変わっても…
「お人好し」の人柄は、変わる事は無かった。
ゆえに…人々の悲鳴に、気づいたとき。
無意識に、本能的に、ちっこい体が反応した。
ッ?!助けなきゃ!!
深く考える事なく…
白い裸足で、泥だらけの床を踏む。
まずは、出口を見つける事。
忍び足で警戒しながら、ゆっくりと檻の前に立つ。
この檻は、銀の光沢を放ち。
こんな代物…悠人は、これまで一度も目にした事はない。
また、その強度(頑丈さ)は一目瞭然。
傷一つすら、つくことは無いだろう。
とりあえず、行動しないと…脱出できるか?分からないけど。
とりあえず悠人は、幼女の手で、銀の檻を掴んでみた。
すると…ポキッ
いともあっさり、幼女の手によって、銀の檻が「壊れた」。
自分で壊しておきながら。
ついつい動揺して、幼女(自分)の手を見た。
決して檻が、脆かった訳ではない。
この身体(黒髪幼女)に、謎の「怪力」が含まれているのだ。
今の状況に対して、思う事は多々あるが。
とりあえず、牢屋から出るのが先決。
壊した檻から、外の通路へ…
この通路は狭く、床も天井も、カビだらけだった。
出口を見つける為、
とりあえず、真っ直ぐ進んでみる。
やはり、手も足も短い…しかも、体が異様に軽く。
この感覚は、東京(現実)にいた時の体感とは別物であった。
進んだ先には「合鉄の扉」が立ち塞がっていた。
悠人は、何も知らないが。
この扉の強度は、何となく理解できた。
天井まで届く程の大きさ、特殊な金属で造られているのだろうか?
しかし、代物(合鉄の扉)でさえも。
幼女の手と、接触した瞬間…
ドォガァァアア!
猛烈な「衝撃音」と共に。
木端微塵の金属破片と化してゆく。
巨大な合鉄の扉が、惨めな残骸となって爆散。
悠人(幼女)の「謎の怪力」により。
ここ(牢獄)で一番、強固な防壁が、ゴミ屑と成り果てた。
扉が破壊された衝撃により。
廊下の隅々まで、埃と塵が立ち込める。
そして…
埃と塵が舞う煙の奥にて、一人の少女が立っていた。
その娘は、ヘルメットを深く被り。
武器らしき装備もなく「新兵」だと察しがつく。
扉が破壊された衝撃によって。
荒々しい暴風が、空間を揺るがし。
その衝撃によって…
「新兵の少女」のヘルメットが、吹っ飛ばされた。
ヘルメットが床に落ち、少女の素顔が露わとなる。




