19話・牢獄への用事
慈愛の勇者「ミュウ」は、牢獄に着くと。
とりあえず、看守に要件を説明した。
彼女の目的は、差し入れを持ってくる事であり。
特に複雑な用事ではないので、すんなりと通してもらえた。
だが、しかし…
街の方では、何かしらの「騒動」が起きているらしく。
「勇者さま、護衛させてください」
一応、安全の為に、二人の護衛がつくことになった。
別に断る理由もないので、ミュウは素直に頷く。
ここ(牢獄)から、はじまりの街は離れている。
ゆえに、どんな騒動なのかも、定かではなかった。
牢獄に踏み入ると、まず円形の広間があり。
広間を囲うように、無数の牢屋が並んでいる。
それらの牢屋には…盗み、暴行、殺人など。
罪を犯した「罪人(人々)」が囚われていた。
牢屋の奥底から、憎悪の視線が、ミュウに集まるが。
それ以上、危険な要素は無かった。
それもそのはず…
彼ら(罪人)は皆、ミュウの後ろにいる護衛(戦士)を恐れているからだ。
彼ら(護衛二人)の装備は、まさしく究極のソレ。
鍛え上げられた体格…
そして、大きな背中には、神聖なる大剣を背負っていた。
この大剣は、神々の技術が、結晶した究極装備であり。
先鋭の戦士だけが扱える代物だった。
ゆえに、悪人は、彼ら(戦士)を怖れていた。
そんな戦士が、安全は保障されているので。
ミュウは警戒もせず、広間の中央で立ち止まった。
そして、持ってきた「籠」を、護衛の兵士に見せてあげる。
「少し多めに、焼いてみたんです」
籠の中身には、沢山のパン。
「ぜひ、みんな(罪人たち)に」
罪人への優しい気遣い(差し入れ)。
兵士は手惑いながらも、その善意を受け取ってくれた。
とりあえず、牢獄への用を済ませたので。
彼女は、急ぎ気味に一礼だけして。
できるだけ早足で、この場から去ろうとした。
その急ぎ足と同時に…ピンク髪のポニーテイルが、フワフワとなびく。
ここ(牢獄)からじゃ…街の様子が分からない。
ゆえに、皆(人々)の安否が気になるし。
だから、一秒でも早く、街に戻りたかった…
はじまりの街で、一体なにが起きているのか?
彼女はまだ、何も知らないけど。
「みんなが、無事でいますように」と…ただ一途に願い続けた。




