18話・イカロス型-XB1
黒騎士の襲撃によって…花火が沈黙。
街の夜空には、静寂が広がってゆく。
そんな空間(夜空)をバックに。
一騎の黒騎士が「飛行」していた…
体の装甲は、メカニカル(機械的)なフレーム。
また…飛行方法は「スラスター(出力装置)」による化学的な手段だった。
金属アームによって、手足が構築されており。
もはや「騎士」と言うよりも。
「ロボット」や「サイボーグ」などのSF的なカテゴリーに、分類するのかもしれない。
そして…このロボット騎士こそ。
つい先程…ドラゴが、展望台にて見つけた「黒騎士」だった。
彼(ロボット騎士)の名は『黒騎士フェルゴール』
ちなみに…正式の型番は。
イカロス型ーXB1…という内容だが。
この世界には、科学や機械の概念がないので。
「フェルゴール」と呼ばれている。
そんな彼は…
今現在、単独で作戦を遂行していた。
背部のスラスターを噴かせながら。
上空から、街の様子を監視する。
頭部のモノアイが、上下左右に動き。
街の隅々まで、情報を認識してゆく。
「鼠…勇者は4匹」
電子音が混じった声で。
一人ブツクサ言いながら、更なる推測を立てた。
天使の勇者、変革の勇者、勇気の勇者は…ガイアと交戦している。
「あの3匹は、ガイアが潰すだろう」
「なら、残りの1匹は?」「
しかし、最後の一人。
慈愛の勇者の姿が、見当たらなかった。
面倒事は、ガイアに任せて。
フェルゴールは「慈愛の勇者」の居場所を探る。
と言っても…
子供一人を、見つけるなんて。
サーチシステム(検索エンジン)を使えば造作もなく。
僅か数秒足らずで、残り一人の居場所を掴んだ。
そこから割り出された「標的の座標」は…街の片隅にある『牢獄』だった。
ここから牢獄まで、僅かながら距離があるのだが。
フェルゴールの飛行機能なら。
一瞬にして、目的地にまで到達できるだろう。