14話・ロボット騎士
「ノドの地」への冒険は、きっと危険に満ち溢れているだろう。
ゆえに、何としてでも…
ミュウだけは、守り抜かねばならない。
ドラゴは、花火を見上げながら、心の中で強く誓った。
そして、視点が「緑色」の花火に移ったとき…
目を疑う存在が、そこに映った。
ソレは…
魔王シュバルツの配下「黒騎士」だったのである。
黒騎士とは、かつての神々を蹂躙し。
世界を、絶望と混沌に陥れた…脅威の先鋭部隊だ。
ただし、夜空(上空)にいる敵は、どうやら一騎だけらしい。
更なる情報を探るべく。
ドラゴは意識を集中「能力」を発動させる。
その能力は「神眼」。
彼のみが扱える、視力強化のスキルだ。
神眼による強化は爆発的で。
この能力(神眼)ならば、光り(光速)さえも…肉眼で視認する事ができる。
つまり、理解の及ぶ範囲なら「ほとんどの存在」を目視できるのだ。
そして、神眼で捉えたのは。
彼の知っている黒騎士とは、身なりも様子も違う相手だった。
相手の全長は、おおよそ2m以上はあり。
銀の輝きを放つフレーム(金属装甲)。
手足は機械のアーム。
その頭部は、円盤型の「機械装置」だった。
ここまでくると、もはや…
騎士というより「ロボット」そのもの。
魔法を軸とする、この世界にとっては…
オーパーツ(未知の存在)と呼ぶに相応しい。
このロボットは背部に、スラスター(出力装置)を備えており。
魔法とも奇跡とも違う…科学による力(未知の技術)で飛行していた。
その敵の姿は。
ドラゴの世界観から、余りにも逸脱していて。
そんな相手が、街の上空を飛んでいる事が…
彼にとっては、恐怖以外の何物でもなかった。
また…ロボットの行動も気味が悪く。
襲撃する訳でもなく、じっと街を監視している。
神眼の効果を、更に一段階あげる。
すると、相手の様子を、事細かに捉える事ができた。
ロボットのモノアイ(眼)が、チカチカ…と規則的な点滅している。
コレ(点滅)に気づいたとき…ドラゴの直感が「危険」を察した。
彼の勘は、悪い時のみ的中する。
ゆえに、この胸騒ぎが、つぎの選択を急かしてきた。
「みんな…」
災いが訪れる前に、勇者は行動に移る。
彼は、展望台から飛び出して…本能に従い、全力疾走で駆け出した。