133話・眠り
魔王ハルバートによって、宇宙全体が捻じ曲げられてゆき。
緑の宇宙そのものが、たった一撃のパンチで滅茶苦茶になった。
エメラルドの宙域にて…
爆発のエフェクト(閃光)が点々と輝き。
爆発音が連鎖する度、金属の残骸が宙に漂う。
これらの残骸こそ、SS(殺戮マシーン)の末路であり。
無限に広がる、宇宙の果てまで…永遠の花火が連なった。
美しき花火たちが、決戦の「終わり」を告げ…
壮絶な戦いは「魔王の一撃」によって幕を閉じる。
魔王ハルバートは、宇宙空間を漂いながら。
視界一杯に広がる…緑の宇宙を見渡した。
そして…
幼女魔王は、力の入らない身体を…ゆっくりと無重力の空間にへと預ける。
ちっこい体が、永遠に広がる宇宙へ流され。
一人、孤独に…冷たい宇宙に囚われた。
この体(幼女魔王)には「死」の概念が存在しない。
つまり…このまま、宇宙に飲まれたら最後。
「死ぬ事の許されない」永遠の放浪が、待ち受けているだろう。
それはきっと…終わりのない恐怖だけれど。
悠人は「魔王」として、その結末を受け入れた。
不思議なことに…
この無重力の空間に、身を委ねてみると、とても安心する事ができた。
フワフワとした無重力が、柔らかいベットのように思えて。
心地の良い空間に身を寄せると…暖かな眠気が忍び寄ってきた。
もう、抗う必要もない…と、幼女の瞳を静かに閉じる。
目覚める事も、動く事もなく…
幼女魔王は、宇宙の彼方まで流されていった。