表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/141

124話・さようなら…

次回の125話から、異世界パートになります。

どうぞ、よろしくお願いします。


病室の時は、まるで静止したかのよう。


一寸の物音すらなく…

叶とカイルは、沈黙の中にいた。


 カイルは、悠人の望み通り。

寄り添い人として、叶の最期を見送る。


紅の瞳が、何を語るのか?


「………………」


 言葉は不要と…言わんばかりに。

静かなる沈黙が、永遠と連なってゆく。


 鈴木叶の「終わり」は間近に迫り。


目も見えず、耳も聞こえず、微々たる呼吸すらもできない。


 目が見えなくて、意識が朦朧としても。

愛用の筆を、ギュッと握りしめて…

逃げも隠れもせず、これからの結末に対峙していた。


 まさに、一筆入魂…

作品そのものに「最後の思い」を委ねる。


 ゆっくり、ゆっくり…音もなく。

未来への希望を、タッチに乗せて、旅の終着地点へ辿り着く。


 そして遂に


叶の筆が、ピタリ…と止まった。


この瞬間…彼女は見た…見通した…


それと…


これから待っている、幼女魔王の冒険を。


 このビジョン(光景)はきっと…これからの未来。


不器用でお人好しな「愚か者」の物語。


「さようなら…」


 静かな涙が、優しく零れゆき。

その手から、フワリ…と力が解けていった。


 愛用の筆が、冷たい床に落ち。


 コトン…


軽やかな物音が、静かに終わりを告げた。


「ぶきっちょな魔王さん」




 11月20日…雨の夜。


鈴木叶は、暗い病室の中で、永遠の眠りについた。


 優しく眠る表情は…


不器用な男と出会った、あの日と。


公園で出会った、あの日と。


まったく同じ、優しく穏やかな「笑顔」だった…












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ