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118話・11月20日 雨の夜

この話から、時間軸が戻ります。

115話後の展開です。


11月20日…物置部屋にて。


 雨の音が、意識の奥深くまで染み込み。

激しい豪雨の音が、悠人の意識を引き戻した。


「………?!ッ」


 僅かながらに呼吸が戻り。

その一息が「負け犬」を目覚めさせる。


「はっ!」


 視界が一気に広がり。

そのビジョン(視覚)は、歪み霞んでいた。


幼女魔王ではない…ただの男「鈴木悠人」が目覚めた。


 どうやら「東京」に戻ったらしく。

ここは、病院の物置部屋で間違いなかった。

 きっと…

アベルとの決戦に敗れた事により、元の世界(東京)へ帰されたのだろう。


 黒髪幼女の姿はどこにもなく。

どこにでもいる一般人(ただの男)が、薄暗い物置部屋で、呆然と立ち尽くしている。




 物置部屋から出た後。

悠人は独り、冷えきった廊下を進んだ。

 闇夜の窓は雨に濡れ…

荒々しい雨の音が、彼の足音をかき消す。


 しかし、今の悠人には。

雨粒の音も、闇夜の空間も、あらゆる「全ての光景」が…歪み霞んで見えた。


 見えない…視えない…


一歩一歩を踏み出す度に、人間らしい「感覚」が削がれてゆく。


 この現状こそ、愚か者の末路。


緑髪の悪魔と契約した「負け犬」の末路。


 だが、それでも…

悠人は歩き続けて、ただ一つの終着点を目指した。

きっと結末は、あの牢獄に…叶が囚われた「病室」にあるのだ。


今日、この日…

世界中でたった一人、鈴木悠人だけが自覚していた。


今夜が…妻の…叶の『最期』だという事を…







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