103話・自己再生、自己増殖、自己強化
不明な反撃によって。
アベルの右手が粉々に爆散…思考コンピューターが警告を発した。
体の部位が破損した事により。
アベルの「修復システム」が起動する。
「プロト・リバイヴ・キドウ」
緑の宇宙空間にて、機械アナウンスが響き渡り。
それと同時に…
自己再生、自己増殖、自己強化。
「復活」から「強化」におけ皇帝が、コンマ一秒で完遂されてゆく。
「再生&強化」システムは、アベルのオマケの機能であり。
ありとあらゆる損傷を、一瞬にして再生修復。
更に「戦闘力」を、更なる領域へと進化させる。
つまり、壊れれば、壊れるほど…
アベルは、更なる領域(強さ)に進化するわけだ。
右手に続いて、肩に脚…
アベルの部位が、次々と吹っ飛んでゆく。
敵(幼女魔王)の攻撃は、常軌を逸しており。
幾ら再生すると言っても、魔王を捉えられなかった。
幼女魔王は一度も、本格的な攻撃をしていない。
ひたすら単純な「頭突き」をしているだけだ。
ただし、単純と言っても、その威力は混沌そのもの。
隕石衝突やビックバンが、小さな爆竹にさえ感じられるスケールだった。
破損したパーツが宇宙を漂い。
アベルの部品(体)は、修復と再生をひたすらループ(繰り返す)。
コード(電子線)にフレーム(装甲)など…内部のパーツが剥き出しになった。
と言っても…
アベルは{再生機構」により、永久的に戦闘を継続できるし。
その上、破壊される程…戦闘力が増幅してゆき。
いずれは、魔王との「力の差」は縮まるはず…だが。
幾ら機能を、アップデート(上昇)させても。
幼女魔王との「力の差」が縮まる事は無かった。
もはや、この戦いは「決戦」ではなく。
「壊して」「直して」の繰り返し、平坦で単純な無限ループ(繰り返し)だった。
こうして追い込まれた時…
殺戮マシーン(アベル)が、どういった選択をするのか?
その答え(選択)は、とても単純…こちらの戦力を増やせばいい。
「レプリカント・キドウ」
次なる段階を、アベルが宣告する。
その言葉は、レプリカ…「複製」を意味しており。
機械音が発せられると同時に、アベルの動きが静止した。
機械巨人の挙動に、悠人は不信感を抱き。
警戒しながらも、幼女の体を止める。
「?」
相手の意図は分からない…だけれど。
悠人の勘が「良からぬ展開」だと警告していた。