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G32話:港町ザラオ1日目・朝

 前回のあらすじ

 ザラオの家族向け宿屋の主人の妹のシャーリーお姉さんと、姪にあたるレミちゃんとが、ユティとエミールの男女仲の進展に力を貸してくれることを表明した。

 幼いながらはっきりとした恋愛感情を持っているレミちゃんと、出戻りのシャーリーお姉さんとがどんな協力をしてくれるのか、このザラオでエミールは男を見せるのか・・・。

 成り行きは勿論気になるのだけれど、私にもやらないといけないことがあるのでした。

---

 朝目を覚まして、最初に目に入ったものは、隣のベッドで幸せそうに小さく口を開けて眠る10歳くらいの美少女のちょっとだけ水っぽくなっている口元。

 それから、寝巻き代わりにした肌着の肩紐がずれてあらわになっているのは第二次性徴が始まっているのがよく分かるぷっくりとしてきている胸元。

 いや、召喚された時からこの姿だったのだから、してきているというのはおかしいのかな?


 チョコレートみたいなこげ茶色の髪の毛はまだ実りきっていない果実を隠す様な長さはなく、首と鎖骨のラインを隠す程度にとどまっている。

 女の子だけの部屋で良かった。

 こんなのエミールやジャンさんに見せるわけにはいかない。

 私は立ち上がると、起こさない様に気をつけて肩紐をもとの位置に戻してやる。


 私たちはあの後も少しおしゃべりをしたりしていたので真っ先に寝たカノンとは1時間以上差があったはずだけれど、この様子なら後1時間は目を覚まさないだろう。

「寝顔も癒されるなぁ」

 起きている時はよく緊張しておどおどとした様子を見せていたけれど、寝ている時はさすがにそんなことないのか穏やかな表情、眉毛も八の字にはなっていない。

 このわずかな日数にこんなにたくさん妹ができるなんてね。

 みんなかわいい。


 カノンのさらに向こう側には、ユティもまだ寝ている。

 ユティはカノンと違って姿勢よく眠っていて、着衣の乱れもシーツの乱れもほとんどない。

 ただカノンと比べて(ううん私と比べても)著しく成長しているそれでもまだ青い果実が2つ、乱れの少ないワンピース越しにそこだけ深い皺を作って、強烈に自己主張をしていて・・・

 例の結婚条件の話も相まって、まるでエミールに収穫されるのを待っている様に見えてしまう。

「2つ下・・・なのよね?」

 同い年で屈指の巨乳だったカンナほどではないけれどブラによる寄せて上げる効果なしでCカップに届こうかという胸は、13歳という年齢を考えれば十分すぎるボリューム。

 まぁ?私ももう少ししたら大きくなる予定だから・・・別に悔しくなんかないけどね。


 と、私が年の割りに成長している『妹』と、年相応(設定上)の幼さを見せる『妹』の寝姿にほっこりしていると、部屋の扉がそっと開けられた。

「おはようございますお嬢様、すでにお目覚めでしたか」

 入ってきたのは私の隣のベッドで寝ていたはずのアリアだ。

 そういえば妹たちのことに集中していてアリアの姿は視認していなかったや。


「おはよアリア、今朝も早いのね」

 彼女はすでに身支度を整えていて、メイド服からエプロンをはずしたシンプルな黒いワンピースドレス姿だ。

 髪もしっかりとシニョンになっていて、レースのキャップもその役目を果たしている。

 さらにその手にはお盆の上になみなみと水を蓄えた洗面器とカップ、水差し、水吸いの良い布が用意されている。

「はい、私はお嬢様のメイドですから、お嬢様が起床されるときには近くに侍らせていただきたいと常に感じて居ります」

 つまり同じ部屋で寝る以上寝る時に寝巻き姿を見られるのは構わないけれど、起きる時はメイドとしての正装(今は家出娘であることを隠す冒険者という私の設定に合わせて人目につくかも知れないところではエプロンはつけないけれど)をして、私の世話をしたいということだよね。

「ありがとうアリア」


 アリアが居なければきっと私は異世界生活をこんなに穏やかで満ち足りた気持ちで過ごせていないよ。

 きっと最初のジャンさんたちの馬車も見捨ててしまっていたに違いない。

 そしてこの大陸のことが何も分からないまま、どこかの平原で野垂れ死んで動物や魔物に食い散らかされるか、どこかの町でロミオやターキン、後はまだ見ぬ、そしてできれば見ないままでいたいギャランの様な下種な男に食い散らかされていたことだろう。


 アリアに身支度を整えて貰った私は、革コートは着けないままで部屋を出る。

 アリアには引き続き眠っているユティとカノンの世話をお願いした。

 私は部屋を一人で出て、食堂に向かう。

 食堂にたどり着くとアリアに聞いて居た通り、夕べ早目に寝た組が和気藹々と談笑していた。

 つまりリズ姉、リュシー、リュリュとデフロットさんとフルーレちゃん、それにマローネさんとマリオ君。

 それから宿側の人間がクリストファ君とレミちゃんがどうやらおちびちゃんたちの相手をしてくれていて、先代の奥さん(つまりシャーリお姉さんやチャールズさん、ギムさんのお母さんだと思われる)が飲み物やらなんやらを用意して、シャーリーお姉さんがそれを配膳していた。


「おはようございます」

 私が挨拶しながら食堂に入っていくと、皆が口々に挨拶を返してくれて、私に一番懐いているリュリュが

「あぁよーおねぇたー」

 と、遊んでくれていたレミちゃんの手から離れて私のほうにポテポテと歩いてくる。

 私はそんな彼女を思わず抱え上げ抱きしめる。

「おはよー!リュリュー、夕べはママとよく眠れた?」

「んー♪」

 朝から温い子ども体温は、ブレザー越しでも気持ち良い。

 頬ずりしてその体温と柔らかさを楽しんでいると、リュシーも近づいてきた。


「おはようムチュキおねえちゃ」

「おはよーリュシー、今日も元気よさそうだねぇ、よく眠れた?」

 リュリュを床に降ろしながら、ちょっぴり髪を撥ねさせた妹の頭を撫でる。

 するとリュシーも嬉しそうに目を細めて私の体に抱きついてくる。

 いや・・・違うね?

「リュチーね?ママのおっぱいもすきだけど、むちゅきおねえちゃのおっぱいもちいさだけど、やわらかいからちゅきだよ?」

 といいながら私の胸を真正面から触って、そして残念そうな顔。


「れも、おふろとベッドじゃないとむちゅきおねえちゃのおっぱいはなんかかたいの、どうちて?」

 と、殿方デフロットさん思春期の男の子クリストファくんもいる(マリオ君はちっちゃいのでセーフ)というのにとんでもないことを言ってしまう。

 うんそれはブラにワイヤーも入っているからだよ・・・とは言えず。

「ごめんね、お姉ちゃん冒険者だから防具とかつけてるんだ」

 とごまかす。

 どうやら夕べはリズ姉のおっぱいを堪能して、おっぱいハンターになっちゃってるんだね。

 マローネさんも微妙に恥ずかしそうにしてるのはたぶんすでにリュシーの餌食になったんだろう。

 夫以外の男性デフロットさんもいるこの現場で・・・。

 顔が熱くなるね・・・はずい。


「リュシーちゃーん、シャーリーお姉さんのおっぱいはどうだった?」

 とそこへシャーリーお姉さんがにこやかな笑顔を浮かべながら近づいてきて、後ろからリュシーを抱きかかえ、そしてそのまま自分のほうに半分リュシーの向きを変える。

 そしてさらにそのままリズ姉とデフロットさんの間くらいの位置にまで抱きかかえていく、私もリュリュと手をつないでついていく。


「んっとねー、シャーリちゃのはね、あいだにおててはしゃむときもちいい、アリアちゃといっしょ」

 と言いながら、その谷間に腕をぐいぐいと割り込ませていく。

 ゆったりとした茶色いワンピースの胸元にはあっという間に深い溝ができて、みずみずしい弾力のありそうな果実の輪郭がはっきりと浮かび上がる。

 デフロットさんとフルーレちゃん、それにクリストファ君がその果実をまじまじと見つめ、そんなクリストファ君にレミちゃんがちょっとだけ腹を立てて腕を引っ張っている。

 デフロットさんはまだ若い男性だから若い女性のおっぱいは見ちゃうよねぇ、そしてフルーレちゃんもママが居ないからこその、そういう母性的なものに憧れとかがあるのかもしれない。


 シャーリーお姉さんは少しにやりとすると、フルーレちゃんに視線を合わせる。

「そんなに見つめて、フルーレちゃんもお姉さんのおっぱい揉む?」

 と、リュシーを抱いたままで、デフロットさんの後ろを通って、フルーレちゃんの座っている後ろに立つ。

 するとフルーレちゃんは

「い、いらない、あたし赤ちゃんじゃないし」

 と、そっぽを向いてしまった。

 とはいえ、その視線チラチラと胸の谷間に沈み込むリュシーの腕なのか頻繁に形を歪ませるシャーリーお姉さんの胸なのかわからない位置を彷徨っている。

 興味は強い様だ。


「シャーリー、そろそろこのミルクをフルーレちゃんとムツキちゃんに運んであげて」

 と、先代女将がシャーリーお姉さんを呼ぶと、シャーリーさんは「はいはーい」と言いながら、リュシーをリズ姉に返してカウンターのほうへ向かった。

「ぁ・・・」

 と小さくフルーレちゃんが惜しむ様につぶやくのを私とデフロットさん、そしてシャーリーお姉さんは聞き逃さなかった。


---

 さて、今日の私には使い魔の3人、ティータとセレナ、フォニアを探すという大事な御用がある。

 シャーリーお姉さんのおっぱいを多用するアプローチや、レミちゃんのクリストファ君べったりが、どうユティとエミールの後押しに繋がるのかはとても気になるところだけれど、皆起きてきたところでそれぞれがやるべきことのために外出をすることになった。

 私とアリア、カノンは冒険者ギルドに顔を出すと言って外出。

 ノルマは達成済みといっても、現金収入が少しでも得られるなら得ておいたほうが良いので、誰も文句は言わない。


 ジャンさんとエミールはこの辺りの商館なんかを見て回るっぽい。

 ジョシュアさん夫婦はマリオ君もつれてお出かけ、ザラオに定住したいと考えているとかで新居と仕事探しだそうだ。

 ほかの人たちは今日は宿で過ごすことになった。

 本当はデフロットさんがジャンさんやエミールの案内をしてくれる予定だったのだけれど、フルーレちゃんが絶賛さみしんぼ中のため宿に残った。

 パパにべったりは気恥ずかしいのかもうしていなかったけれど、デフロットさんが出かける仕度をしていると、悲しそうな眼で見つめるので、デフロットさんがギブアップした形。


「~♪」

 ところで、私と手をつないで歩いているカノンはとても上機嫌だ。

 ほんの3泊とはいえ、離れ離れになっていた姉たちと再会できるのだから、この年頃の子にとっては嬉しいことだよね?

 実際使い魔として呼び出されたこの子たちが、どれくらい人と同じ様な情緒をしているかわからないけれど、外見相応の感情の動きを持っている様に見える。

 つまり、アリアなら18~20台前半くらいの、カノンなら10歳くらいの・・・。

 でも設定がそうさせるのか、危険なものへの危機意識は私よりもよほどカノンのほうが高い。

 単に気弱なだけと見えなくもないけれど。


 私はマップと索敵機能を使ってティータ達の位置を探りながらザラオの東側、海に向かって移動を開始する。

 このまま港の入り口くらいまでいって、そこから南に、さらにある程度のところで折り返して西に戻ればザラオの全域をカバーできる。

 使い魔の項目で見てもティータのMPがちょっと減っている以外におかしいところはないし、たぶんこけて治癒魔法を使ったとかそれだけの話だろう。

 指示したとおりこの町に来ているなら、そのうち出会えるはずだ。


「よーし、それじゃあひとまず先に冒険者ギルドに行こうか?」

「はいです!」

 幸いにして、宿から港への進行方向に冒険者ギルドはあるらしいので、東へ行くついでにギルドにも顔を出そうと思う。

 彼女たちが作戦通り動いているならば、そこで彼女たちがザラオに無事たどり着いているかどうかわかるはずだ。


 明るく良い子なお返事をするカノンと、一歩後ろを淑やかについてくるアリア、すごく視線を集めている気がするけれど、まぁ私だってこんな美人と美少女が居たら思わず横目で追いかけちゃうだろうし、ついでに私もまぁ?この世界ではそこそこ目立つ容姿らしいので?目立っちゃうのは仕方ないよね。

 それに私たちが目立つということは、作戦通りに進んでいる場合に私たちに情報が伝わってくる可能性が高くなるので良いことだよ、うん。


 テンションがあがってしまったのか少し早足になり、すると当然の様に転びそうになるカノンの体をあわてて支える。

 すぐに申し訳なさそうに落ち込むカノンを今度はこちょぐったり、撫で回したりと戯れ合いながら私は、整然としたザラオの町並みの中をゆっくりと東に向かって進んだ。

更新ペースが遅くなっており申し訳ございません、来月中頃には間に合わせにノートPCでも購入しようと考えて居りますので多少はマシになれるはず・・・。

そもそも頭の中身を搾り出すのが遅いのでそんなに早くはならないかもしれませんが

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