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ゆっくりと 堕ちて 墜ちて

作者: ばんこ。
掲載日:2017/02/24

少女だった私にさよならを告げて。



16歳 予感がした時は すでに貴方へ堕ちていた


夢中で背中を追いかけた


挨拶をひとつするたびに 目が合うたびに

心臓は破裂と再生を繰り返して


声を掛けられただけで 手がほんの少し触れただけで

もっと ずっと 好きになる


貴方の瞳に私だけが映った瞬間 私は舞い上がり

ついでに神様にありがとうのキスをする


神様なら ノーカウントでしょ?



18歳 世界から祝福されたはずの恋は 墜ちていく


ぐっと近くなった貴方に ずっと夢見ていた貴方に

膨れ上がる純情を持て余して


貴方の視線に 貴方の触れる手に 熱が灯るたびに

思春期の潔癖とほんの少しの好奇心の狭間で揺られて


追いつけない私に ゆっくりでいいよ


そう言った貴方を 否定して それは簡単に壊れた

私が砕いたはずなのに 性懲りもなくその欠片をかき集めるのも私だった


大切に仕舞いこんだ貴方に

夏になれば激情に駆られ

冬になれば神聖な祈りを捧げるように


私の中で貴方は巡り 季節が巡る


誰かの手に縋り付いてしまえば

誰かの温かさを求めれば

貴方への想いが嘘になってしまう


私の恋はあんなにも綺麗だったのに


どうして?


夢から醒めたように 引き出しを開けてみれば

宝物だったはずの貴方はすっかり色を失い

思い出だけでは生きていけないのだと知った


(かたく)なだった私は やがて優しい繭に守られ さなぎとなり

貴方が知っている少女の殻を脱ぎ捨てて

愛でられながら ゆっくりと 羽をひろげ


いま 蝶になる







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