働きたくねえ
日本人というのはどうにも湿っている。
エゲレスなんかもそうなんだけど、まだ向こうはユーモアのセンスがある。
恐ろしく息苦しい。
フリーターをしていた時期がある。
その時恐ろしい、やばいなやばいなと感じた事。
オレには借金があった。(今もあるけど。)
それで時給900円の仕事ではとてもじゃないが生活していけなくなった。
そのバイトのすぐ近くに時給1200円のアルバイトがあった。
オレは金もないし就職のために金も貯めたいし一ヵ月後やめます。と言った。
お前この時期にやめられたら困るよ、何考えてるんだ、後任の奴つれてこい、と言われた。
ちなみにいつ言おうがこの時期に、とは絶対に言う。
知ったこっちゃない、バックレた方が得である。
オレは言った。時給1000円にしてくれたらせめて考えますよ。
アホか、と言われた。
イカれてると思い結局オレは一ヶ月後にやめた。
そうして仕事を探すのが面倒くさくなったってわけ。
その会社は広報誌を出していて、時々店舗に届く。
オレは活字が好きなので時々読んでいた。
社長は声だかになんだか、公共の利益、お客様のため、従業員一丸となりこの不況を乗り越えよう、だとか言っていた。
めちゃくちゃ良いアルマーニのスーツを着ていた。
オレはその時穴の開いたユニクロのセーターを着ていた。
イカれてると思った。
そういう甘えが湿っていると感じる。
昭和の文学は共感や人の弱さに焦点をあてているものが多い。
オレはそれを湿っていると感じる。
理解しあえて当然という前提がそこにはある。
それが甘えであり、湿りの正体なのだろう。
え、違うって?(多分自称文学通が文句をつけてくるだろうな)
オレは全ての作家の事を言っているわけではない。(昭和は長いしね)
また、理解しあえないような事があっても、ほとんどは、話し合えばなんとかなるだろうそれ、みたいな事を、トラジティとして扱っている。
本当は理解しあえて当然という前提があるから、それがトラジティとして成立するのだ。
あまりに夏だから、と言って人を殺すような人間は、出ない。
会社の利益がいくら上がろうと下にはほとんど還元されない。(あ、ボーナスぐらいは出るか。正社員は羨ましい。)
底辺の労働では人件費がマストの削減対象だからだ。
オレにアホか、と言った正社員は一日十二時間労働が常態化していた。
モチベーションというのは基本的に仕事に対するやりがい、というか、非常に曖昧な言葉遣いで嫌なので、はっきり言うと、低脳や無能なら低脳や無能なりにそのプライドを維持できる程度の能力を発揮した仕事をする事だ。
酔っ払いに理不尽な理由で怒鳴られそれに対しても笑顔で接客するというマニュアルは決してプライドを保たないし、モチベーションには繋がらない。
または金だ。
正直な所バイトなら時給2000円もあればある程度の苦痛には耐えられるんじゃないだろうか。
と、するとホモビデオかアダルトビデオに出ろという話になるのだが、脱肛になるのは、困る。
チェ・ゲバラは資本主義下では人間は一日八時間名前を持たない機械になると言った。
現代では八時間ではきかない。
また時間だけではない。
恥も切り売りしなければならない。
そうなりたくなければ、勝つしかない。
勝ち続けるしかない。
絶え間のない勝利を! はチェ・ゲバラの弁。
その能力がない人間は死ぬかホームレスになるしかない。
しかし、その現実を誰も言わない。
人間は全て特別なものでかけがえがなくて国から保障は与えられて当然。という風潮をインテリもどきは持ってなければ、キチガイ扱いされてしまう。
そうしてそういう事を話す人間は"進んでいる"と感じられるので、声だかにそういう事を、叫ぶ。
しかし現実はそうでない。
そこに歪みが生じる。
そこで人は自殺する。
そこで人は人を殺す。
オレはファシズムが良いとは思わない。
しかし嘘が嫌なのだ。
嘘があるから人は勘違いしてしまうのだ。
勘違いというか、嘘を嘘だとわかった上で、その嘘に縋ってしまう。
嘘に甘え開き直ってしまうのだ。
そこで、歪みが起こってしまう。
思考と精神の剥離だ。
オレが本当のことを言う。
人間に価値はない。
貧乏人は子供をどんどん作って死ぬまで金持ちに奉仕しろ。
それが出来なくなれば死ね。
やりがいや自分のしたい事なんてどこにも存在しない。
本当の自分なんていう、どこかに居る才能あるお前なんてどこにも居ない。
お前が家族や子供のためにあくせく働き小さな幸せとかいう嘘を欠食児童みたいにかみ締めている間、お前の雇用主はお前の数百倍の幸せを感じている。
それは抽象的なことではなく、脳内物質の分泌量から違う。
性悪論こそ真実だ。
宝くじに当たる事はない。
白馬の王子様や赤いフェラーリに乗った金持ちがお前を迎えに来る事はない。
お前より美人だったり格好良かったりする男と女が世の中には掃いて腐るほど居るからだ。
お前が共感している人間の後ろか上には、お前が共感できない人間が蠢いている。
幸せは状況によっては起因しない。
興奮によって、脳内物質の分泌によってのみ、起こる。
それ以外のものはごまかしだ。
もしこれを見て嫌な気分になったら、ゲバ棒を持ち、火炎瓶を投げる時なのかもしれない。
本当は、名の有る金持ちより、名も無い貧乏人の方が、数が多い。
オレは今から寝るので、革命が終わったら、起こしてね……
おやすみなさい。
ここまで書いて気づいた。冒頭のエゲレスについてだが、向こうもコメディ大国で、日本にもお笑いがある。
共通しているのは、少数派と変わり者を揶揄し、笑うという事だ。
笑いは緊張を緩めるためか、こいつになら勝てる、というものを見た時に、起こる。
つまり、どちらにも共通している事として、共同体から大きく離れた一個体を見た時、起こる。
やっぱり、イギリスも湿っているらしい。霧の都、ロンドンというぐらいですからね。
批判しているわけではなく、オレは、モンティパイソンと、ガキの使いが、好きです。