表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆BK★  ~生かせる世界~   作者: 山李虎
【BKゲーム】
5/5

デアイ と セツメイ





 突如として、ゲームに巻き込まれた男女。




 その中の【1人】が、意識を取り戻して目覚めると、そこは薄暗い場所だった。




 最初は

目が暗闇に慣れず、周りがよく見えなくて、じっと目を凝らして周りを見てみると徐々にぼんやりとだが、目前に広がる風景が見えてきたけれども、その光景に全く見覚えがなくて、周りには誰も居らず、此処が一体何処なのかも判らなかった。
















 しばらくすると

段々目がその場の暗さに慣れ、今居る周りの様子が見えるようになってきたけれど未だうっすらとした暗がりで、全体はよく見えなかったが、見える範囲の光景から判断するに、どうやら何処かの『ショッピングモールの建物ない』に、自分は居るようだった。




 周りを見渡すと、目に見えるのは

うっすらとしか店舗名が読めず、中が何かも分からない、シャッターが下りた店舗ばかりが立ち並び、辺り一面は、鉄製の格子が下りて締め切っていた。



 まるで閉店後のショッピングモールの中に、取り残されたようだったが

何故だか異様な雰囲気が漂い、まるで【鉄格子の檻の中に閉じ込められたような】そんな圧迫感を受けた。
















 自分の身に起きた出来事と、今の状況がう呑み込めずに、理解できなかった。

「此処は一体どこ何だろう。」ポツリと心の声が、口から出てしまったように呟き



 何だか遠くから、微かに何かの音が聴こえた気がして

「今聴こえてきたのは、一体何だろう。」と不安に感じていたが



 暫くすると少し落ち着いてきて、今の自分が置かれている状況を、一旦頭の中で整理しようと考えるが、頭の中にモヤモヤとした靄が掛かったような意識と記憶が定かでなく、殆どの事は『頭の中・記憶の中』から抜け落ちてしまっているらしく







 しかしそんな状態でも、何とか懸命に思い出そうとして、唯一思い出せた記憶が

今日は【誰かと会う約束】をして居た筈で、朝早くに家を出てから、待ち合わせの場所で待って居ると、近くあった大きなテレビ画面に速報として

「才覚首相が、BKシリーズの最新作を、近日中に発表する。」との報道が流れた。という直近の事だと思われる記憶だけで。

 何故だかこの記憶だけは、すぐに思い出す事ができたのだが、それ以前またそれ以降の事は、どうしてもハッキリと思い出す事ができなかった。











 その後も、今の自分が置かれた状況を考えていると、ふとある重要な事に気づく。


「あれっ、私は一体誰なんだろう。」


あまりに唐突な異常事態で、根本的な問題に気づかなかったのか

自分の名前が解らない事を、自分が誰なのか思い出せない事を、今更気付いた事で、急に平常な精神へと立ち返ってしまったら、パニックになってきた。







 だがその時、不意に微かな記憶の中で

とある【忠告と約束のような】言葉が、頭の中をよぎり

『気をつけて。あなたは試されている。』という【誰かからの忠告】に

『約束よ。忘れないでね。』という【誰かとの約束】を

何となく自分は、【いつか誰かと、大切な約束をしていた】ような、曖昧な記憶が急に蘇った。






 この言葉でふと我に返り、何とか冷静さを取り戻し始めていると

暗がりで気付かなかったが

手元に置いてあった『タブレット端末機器』の電源が入り、画面上に突如として、

【仮面に執事服姿をした、異様な雰囲気の男らしきモノ】が映し出された。










 その【執事服の男らしきモノ】は、感情のない平坦な男らしき声で告げる。


「本日お集まり頂いた皆様は、御自分が置かれている状況を、理解出来ていない事でしょう。

 

 私より、状況の説明をさせて頂きますので、暫しの間ご清聴をお願い致します。


 皆様にはこれから、『とあるゲーム』に強制参加して頂きます。

 

 その名も【BKゲーム】。

 

 遅れ馳せながら、私の自己紹介をさせて頂きます。

 私は【才気 煥発】と申します。


 ゲームの主催者として

今後の進行をさせて頂きますので、以後お見知りおき下さい。」















 突如として彼らの前に姿を現した、主催者を名乗る【才気という男】らしき人は深々と頭を下げて一礼すると、そのまま淡々と説明を続けていく。


「では改めまして、皆様、本日はようこそおいでくださいました。


 これから行われますのは、私共が発案した『敗者なきサバイバルゲーム』です。


 私は主催者と兼任し、まだ若輩の身にて僭越ではありますが

このゲームのディーラーを務めながら、皆様と一緒にゲームへ参加致します。 


 私共の相手をして頂くプレイヤーは、この場に居る『皆様』です。


 そして

プレイヤーである皆様が、このゲームに賭けて頂くチップは、『皆様の命』です。


 皆様はゲームのプレイヤーとして、国民の中から、無作為に選ばれた方々です。

 

 選ばれし方だけを私共が発案したゲームへ招待し、日常生活の中では味わう事の出来ないような緊張感のある

『リアル体験型サバイバルゲーム』へと参加して頂きます。


 皆様はゲームが終了するまで、この建物ないに『閉じ込めて解放しません』ので申し訳ありませんが、暫しの間お付き合い頂きますよう謹んでお願い申し上げます


 皆様が現実を忘れて大いに楽しんで頂けるよう『おもてなしする』。それこそが私共の目的であります。」






















「まずはこの場にて、簡単ではありますが

重要なゲーム内容とルール説明等をさせて頂きます。


 この【BKゲーム】は

 現在プレイヤーである『男女30名』の皆様が

私共の貸し切ったショッピングモールないに、それぞれ個別の場所で居られます。

 

 このゲームエリア内にいる全てのモノの中から

化けの皮【BK】を装着していない『天然モノ』と

【BK】を装着して紛れ込んでいる『紛いモノ』を捜し見つけ出して頂きます。

 

 見事に

『天然モノ』と『紛いモノ』の両方を見つけ正解なされますと、皆様の勝利です。




 1日2回、こちらが指定した投票時間までに

誰が『天然モノ』か『紛いモノ』かお選び頂き、お手元の端末から投票して頂くのですが

 

 投票時間はランダムとなっておりますので、毎日こちらから投票時間を指定して

 投票時間の10分前になると、皆様のタブレット端末へと、お知らせ致します。


 10分前から投票時間まで、カウントダウンが始まります。

 カウントダウンが終わるまでに投票をして下さい。


 投票は皆様の多数決によって決まり、『両方』正解を見つけ出すまで続けさせて頂きます。




 但し、今後ゲーム内での『他プレイヤーとの会話』は禁止となります。

 ゲームエリア内の至る所、『高性能隠しカメラ』が設置され、常にプレイヤーの皆様は監視されています。

 

『高性能隠しカメラ』には

映像の録画機能だけでなく、その場の音声を拾う録音機能まで備えてあります。

 

 その為

どんな小さな音でも確実に拾えますので、くれぐれも皆様はお気をつけ下さい。







 ゲームの参加者は、各人でゲームエリア内から捜し見つけ出して下さい。

 お手元のタブレット端末機器の中に登録されている

【BKカメラ】と書かれたアプリを起動し、タブレット端末のカメラ越しに参加者を捜して出して映されますと


 参加者だと認証された場合には

カメラアプリ内の参加者欄に『その姿と名前』が登録されますので


 登録された名前の中から

紛れ込んで居る『天然モノ』と『紛いモノ』だと思うモノを選択して

投票時間のカウントダウン以内に投票して下さい。




 只一つ、注意事項がありまして

タブレット端末のカメラには、視線を感知する機能が取り付けられております。

 視線を感知されず姿を映せれば、『その姿と名前』が画面の参加者欄に表示されその参加者を、選択する事ができるようになりますが

 

 カメラを起動中に

もしも視線を感知されますと、その対象となる参加者の登録は『無効』と表示され同じ相手から【2度『無効』表示】されますと、以降ペナルティーが与えられます


『登録の無効』は通算となっており

通算4回以降は、参加者を対象として映す度、ペナルティーが加算されていきます



 ルール違反者には、ペナルティーが科せられます。

 

 そして

ペナルティー合計が4回目になると、『リタイア』として強制退場を願います。






 この中にあるモノの中から、すべてのモノを、注意深く観察して下さい。

 ゲーム攻略に繋がるヒントとなる事・モノや、皆様の手掛かりとなる事・モノがこのゲームエリア内にあるかもしれません。














 まずこのゲーム世界に慣れて頂く為、猶予を1日設けます。


 2日目から本格的にゲームを始動しますが

此度のゲームをより一層盛り上げて、楽しんで頂く為の趣向をこらし、私共から

ささやかながらのサバイバル要素の演出としまして


 2日目からは

毎日2回目の投票終了後に、選択を間違えていると

1日1人ずつ参加者の誰かを、ランダムにゲームから排除する為に『紛いモノ』が動き出します。

 

 また

ゲームエリア内にサバイバル要素と致しまして、獰猛な動物達を解き放ちますのでよりリアルなサバイバルゲームを、存分にお楽しみ下さい。


 その他の注意点としましては

『皆様御自身の姿を映すモノ』は、こちらで全て撤去させて頂きました。



 『登録の無効』が重なる度に『会話』をする度に、ペナルティーが発生します。

  

 相手に見つかる事・見られる事が禁止され、会話が禁止された中で

 皆様がどのような行動するのか、観察させて頂きます。



 最後となりますが

ゲームの中で必要になりそうなモノを、こちらで幾つかご用意致しました。

 皆様のそばに、『リュックサック』が置いてある筈ですので、まずはその中身をご確認下さい。



 私からの説明等は、以上となります。

 詳しい注意事項や、再度ルールのご確認をする際は

只今の映像が映し出されている、『タブレット端末機器』の中に、ゲームの詳細なルールが書かれた『アプリ』が入っておりますので、後程各人でご覧下さい。」と、ただただ機械的に、無機質に、心も感情もないような、淡々と一方的に話していた。











 『才気』と名乗る男は、変わらずそのまま続けて

「この世の中は、全てがゲームであります。


 人類はこの星を盤上として

それぞれの人生を、それぞれが駒となって、それぞれに体現していく

『盤上で人生を賭けたゲーム』をしているのです。


・この世はまるで『椅子取りゲーム』のように

 徐々に残りの席を減らされて淘汰されて生き、生き残ったモノが勝者となり


・この世はまるで『人生ゲーム』のように

 それぞれが好きなように駒となって生き、それぞれに自分のターンに合わせて

 時に進み、時に休み、その時々の運に身を任せながら

 同じ盤上の人間同士で競い合いながら、限られたモノへと就いて人生を謳歌し


・この世はまるで『サバイバルゲーム』のように

常に『狩る側と狩られる側』で、同じフィールドのゲームを楽しんでいるのです。


 まるで

『人類皆が一緒に

椅子取りゲームと人生ゲームとサバイバルゲームを、同時にしているようなモノ』


 人類誰もが、この世に生まれ落ちた時から

この星のゲームプレイヤーであり、生き残りを賭けて争っています。




 私共は、皆様の人生の登場人物として、少しばかり出演させて頂き

僅かながら、物語へとお邪魔し介入させて頂く事で

『人生というゲームを、楽しく盛り上げて差し上げよう。』という

私共からのサプライズで、皆様の人生へのおもてなし精神から


人生における『一瞬のワクワクとドキドキを』私共から皆様へと提供しています。


 私共と皆様との一瞬の出会いを通し

今一度改めてその事を自覚して頂き、『忘れ去られた感情』を、このゲームを通し思い出して頂こうではありませんか。」












「ゲームが終われば、皆様は解放されます。

 我々は、皆様に救済の手を差し伸べているのです。

 魂を、その窮屈な肉体から解放しています。

 今までに、何人もの魂を解放してきました。」との妄言を、平然とした顔で男は話していて、その顔に話に、恐怖を感じていると




「私共が発案したこのゲームへと今まで挑戦してきた者の中から

 『勝者』は現れませんでした。


 ただし『勝者』も居なければ、『敗者』も居ません。

 これは、『勝者なき世界に敗者は居ない』と、私共が考えているからです。

 

 ですがそれでも尚、私共が毎回このゲームを開催するのは、いつの日かゲームに参加して頂いた方の内の誰かが、もしや『勝者』となるのではないかと、私共が『人間』に期待し、毎回皆様の様子を静かに見守りつつ『一縷の望み』を残して、今までずっとゲームの模様を、観戦してきたからであります。





 長話にお付き合い頂きましたが、いよいよお時間が近づいて参りました。

 

 大変永らくお待たせしてしまい、申し訳御座いません。


 さぁそれでは皆様、只今より、待ちに待った【BKゲーム】を開始致します。


 どうか心ゆくまで私共のゲームを楽しんで頂きながら

最後まで生き残れますよう、皆様のご賢答を、心よりお祈り申し上げます。


 ではまた後程、再会致しましょう。」そう言い残すと、映像はそのまま途切れてしまい、電源が切れてスタンバイ状態となった画面には、ぼんやりとした薄明かりだけが映り、あとはもう何も映さなかった。










 映像が途切れる直前、手元のタブレット画面に映し出されていた『才気』の様子は、先程までの無表情とは打って変わり、まるでにこやかな表情で、楽しそうにゲーム開始を告げていたような、少し軽やかな声と口調で話していたように聴こえて、感情のある方が、よりかえって不気味で恐怖を感じた。

























評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ