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☆BK★  ~生かせる世界~   作者: 山李虎
激動の時代
3/5

変革の兆し





 こうして時代の転換期となる

「変革の兆し」と呼ばれた激動の時代を迎えてから、国が変わり始めて、ようやく落ち着きを取り戻してきた、数年後の日本。









 変化は一瞬であった。







『才覚首相』の『BK』開発過程で生み出された技術と副産物が、様々な技術分野へ派生していき、近代国家として目覚ましい技術革新をもたらした。

 

 この国は

瞬く間に世界トップの技術大国となり、他国からは頭一つ抜き出た存在として、

世界からの「ドクソウ」を始めていた。



 日本の時代が再び花開き、以前程ではないが、人口も少しずつ増大していた。

















 『才覚首相』の就任後

国の変化に対応できず自殺したとされる『自殺者』は、少なからず存在したが


 この国が『変革の時代』を迎えてから

自殺志願者全体は、今までの半分以下となって、以前よりも遥かに減っていた。





 けれど

『変革の時代』の以前よりも、自殺者の事を国外から問題視されていた。


「減少したからと言って、人の命は数ではない。

 命の重さは数ではない。命は皆、平等である。」


「明らかにこの国の犠牲となって、命を落としている。

 その事が、本質的な問題視であるのだ。」と、世界の国々は、才覚首相を糾弾し今までとは、『死者の意味』が違うと述べた。




 これは事実であり、この国が抱える『重要な問題として』取り上げられていた。


 国外から、再三の勧告として

『国民が国の犠牲者として、目に見える形で、顕著となり現れている。』とされて厳しい追及を受ける事があった。









『才覚首相』はこの件に対して、世界へ

「私の国民への『命に対する考え方』は、今までもこれからも同じである。

 この国で命を落とすという事は、全てこの国が救えなかった命である。

 この国が救えなかったという事実を、私はきちんと真摯に受け止めている。

 

 ならば何故、今となって以前にも増して問題視をするのか。

 以前までの世の中は、何故これ程まで、白熱した議論をしてこなかったのか。


 いつの時代でも国民の命の重さを変わらない。

 今までの先人もまた、救えなかった多くの命を反省すべきである。


 私が救えるのはこれからの命であり

これからこの国で、自ら “いきようとするもの” だけである。

 幸いにも、私が首相を務めているこの国は、あらゆる技術が最先端である。

救える命は、これから確実に増えていく。」と、今後のこの国の未来を語った。






















 そして

ある日の国会演説では、首相は国民に自らの言葉で話した。


「自殺志願者へと、自ら生きる事を放棄する者へと

 この国ができる事は、実際には何もない。

 この国が国民にできる事には限度があり、これは事実である。


 だがしかし

国は自ら “いきようとするもの” へは

あらゆる手段を用いて、支えて、保護して、保障して

手を貸す事も、手を差し伸べる事もできる。

 

国を挙げて全力で、 “いきようとするもの” は必ずいかしていく。

          “いきる為” ならば、国を幾らでも利用すればよい。



     この国は “いきようとするもの” と共にあるのだから

           “いきるいし” がある限り

安心して国を頼り全力で “いきてほしい”。



  だが

 これだけはハッキリと告げておく。

   自らを “いかす” のは、自らでしかない。

   国が人を “いかす” のではく

自分自身が自分を “いかす” のであり

       国が “いかせる ”のは、国だけである。

        人を “いかす” のは、国ではなく、あくまでも人である。」












 才覚首相のこの発言で

この国は世界と反発し、「人の在り方」について対立する事があった。


 世界の国々の中には

「人を禁断の領域へと押し出し、禁忌の境界を越えようと足を踏み入れている。」


「『国民の生命を護るという。』国家として最低限の基盤を、揺るがしている。」


「人を容易に創りかえる事のできる技術は、今後この世界をとても危うくする。」


「ある国は独裁政権となって、世界の秩序を乱し始めるかもしれない。」などと、今の日本の在り方に警鐘を鳴らす国も


「『才覚首相』は

自らの力を驕り過信し、今の地位に酔いしれ、国家と共に溺れていくだろう。」と今の首相を、直接的に非難する国もあった。










 ある国の首相は

国際会議が終わり、『才覚首相』とのすれ違いざま、耳元で告げた。


「あなたの国の有名な文学で、『平家物語』というのがあるらしいが、ご存知か?

『盛者必衰の理をあらわす。驕れる者は久しからず』どのようになるかを。」




すると、才覚首相は

「勿論。

『平家物語』は、我が国が世界に誇る、最高の文学作品の一つでありますから。

 あれには、世の理が書かれていますね。」と、毅然とした態度で答えてから、

彼はその場で一礼し、颯爽と去っていった。



















 国民の一部にも

「ジンチをコエウル可能性が秘められた、それは、果たして大丈夫なのだろうか?

 

 このまま国が進み続けると、この先どうなるのだろうか?

 

 待ち受ける先の未来には、不安しか感じない。」などと思う者も居たようだが、国内で彼に直接異議を唱える者は、誰も居なかった。








 それは指導者としての彼が

国内で一定の成果を上げており、今もこうして、この国が存続できているのは

彼のおかげだと、国民は心の中で、少なからず実感していたからである。


 誰にも抗う事の出来ないような、時代の変化の波に、国民全てが巻き込まれ

否応なしにただ変化を受け入れるしかなかった。





 国民の心は、既にそこまで疲弊していた。

たとえ多少の不平不満があっても

「国家に立ち向かい自分たちが国を変えてやる。」という気概のある者は居らず、ただ国民は、国の方針を受け入れざるを得なかった。













 国民は何も言わなかったが

他国からは、『この国の在り方について』干渉を受けて


 海外の人権団体などが

この国の『人権の在り方』を訴えるデモが起こったけれど


 才覚首相は

その国々において『人や国の在り方・人や国の解釈は変わってくる』と考えており




「今の時代、世界の大半はこの国と同じく

 国民には番号が割り振られて、国から管理されている世の中である。

 

 だからこそ、何故この国だけを問題視するのか。

 

 他の国々では、『自殺者問題』を含めて、どう国を治めているのだろうか?」

 彼は

素直な疑問を世界に投げかけたが、投げたがボール戻ってくる事はなかったので


 彼はその後も

海外から干渉はあれど、海外情勢を気にする事なく、独自の路線を進み続けた。



















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