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☆BK★  ~生かせる世界~   作者: 山李虎
Monologue 【登龍治 才覚】
1/5

はじまりは、いつも





 物語の舞台となるのは

この世界と似た様な文化・技術水準の国々が存在し、同じような時系列を辿りつつこの世界とは異なる並行世界の日本。




 西暦2000年に時代が突入して

 この国は、人が減り始めて、物が減り始めて、技術が廃れ始めて

人の心と国が、ハッキリとした理由は分からないまま衰退し始めて



 西暦2025年には

この国がずっと低迷し続けてきた翳りが、より顕著となって表れて

国家としての荒廃の危機に直面していた。



 だが、翌年の西暦2026年。

この国は、世界との「分岐点」に立つ事となる、大きな「転換期」を迎えた。
















 それは

突如として国民の前に現れた【とある一人の男】と、その男が世の中にもたらした【とある研究から開発された商品】による。


 その男は

圧倒的なカリスマオーラと存在感を放ち、今までにないリーダーシップを持って、世界を『アッ』と驚かせる発明と共に、颯爽とこの国に出現して、世の中に衝撃を与えた。
























 ある日。

 その男は、国民の前に、なんの前触れもなく突如として現れ

テレビ中継の映像を利用し、テレビの画面越しから国民に挨拶と宣言をした。





「皆様、お初にお目にかかります。突然のお知らせで、大変恐縮ではありますが、この国は今、存亡の機に瀕しております。


 その為

この国の存続を賭け、国を変革してゆく代表として

私がこの度、新しい首相に選任されました。


 名を、【登竜治 才覚】と申します。


 今回このように、大々的なテレビ中継を通し

 国民の皆様へ就任の挨拶とさせて頂いておりますので、誠に勝手ではありますが生放送となっております故、暫しの間、ご清聴頂けますようお願い致します。」


 そう告げ、いきなり現れたのは、見た目40代位だろうか、中年代の男性らしくそれにしてはやけに落ち着きがあり、貫禄がある眼光鋭いその男は、細身の身体で白衣を身に纏いながら、パフォーマンス染みた動きと口調で話ながら、演説を進め








 彼は意気揚々とした表情で

「更に今この場この機会をお借りし、早速ではありますが、今後の我が国の方針をお伝えします。


 この国の格言に

『働かざるモノ、食うべからず。』というのがあり

食べる為には、働くしかありません。


 ショクは、人の心を豊かにします。


 しかし

美味しいモノを食べる為、生きる為には『多少の我慢は必要ではある。』と考え

何かしらの労働をするからこそ、その自分への対価の報酬として、ショクに満足感を得られるとも考えております。


 その為

何か欲しいモノがあるのならば、自らのチカラで勝ち取るしかありません。

本来この世はやはり弱肉強食でありますが、ただ私たちは人間であります。


 ですから

武力ではなく、考える事ができますので、最も平和的な方法を選択し解決ができると思います。

 何かを奪うのでなく、何かを生み出した対価との交換で、消費をしていこうではありませんか。」








 すると

彼は今までの顔とは違い、急に真剣な表情で

「この国が変わる為に必要な制度や保障は、我々政府が順次検討・議論し考えて、更に国民皆様方からの相談や要望も受け付けていきます。


 しかし

相談や要望の全てに応えられるとは限りません。

国が、国民の人生全てを肩代わりする事は出来ません。


 ですが

国民生活向上の為に責任を持って準備し、全ての法整備や国民生活の環境を今一度改めて整え直して参ります。

 自らの選択と意志で生きていけるように、保護と保障は手厚くしていきます。

 後はそれを、どう活かしていくかは、個々人の問題であります。


 そして

まずはこのような社会を築き上げる為には、資金がいります。

今の時代に人は、生きていく為、少なからず金銭が必要です。

これは今の世の中にとって、変わる事のない不変の事実です。」と国民に告げた。










「この国の国民1人1人のソウゾウの産物から

 研究や技術の開発・向上により生み出される新たなモノが

 今までの積み重ねを継続していくモノが

 全国民が生み出し生産した技術がこの国の新たな資金源となって

 安定的な資金を集められるようになっていきます。」

 【登龍治才覚】は

国民1人1人に労働を求めて、日々考えて、ソウゾウして

何かをつくり、何かを生み出していこうと国民に語りかける。



 更に

「何も生み出すのは、創り出すだけに限った事ではありません。

 今あるモノを維持する事や支える事も重要であります。

 その為には、国民全て、皆様の力が必要不可欠となります。

 何かを生み出すのが、我々の使命である。

 我々は、何かを生み出し、何かを継ぐ為に存在していると思います。

 ですから、何卒お力添えを頂けますよう、今後ともお願い致します。」国民へと今後のこの国への助力を求めた。









 彼は

国民に向けて、今後この国で共に生きていく為、自らの生き方や夢や願いを語る。

「私は、この世界に何かを生み出す人でありたいと常々思っています。

 私は、何かを生み出す人『ソウゾウシャ』でありたいと。

 なので、国民である皆様にも、今後は生産性のある生き方を求めていきます。

 生産して、消費をする。

 その規則正しいサイクルの中での生活をしようではありませんか。

 日々、何かを生み出してほしい。


 たとえ

今までと変わらない生活であっても、

 そこには、現状を維持する為に何かを生み出していると思います。

 これからのこの国は、今あるモノ、文化、技術の継承と保護にも重きを置き

 世界に対しては、技術で存在感を示していきます。

 

 その為にもまずは

 国民の意識を半ば強引にでも変革していき


 そして

 生活を変革していき、次に技術を変革します。


 こうして

徐々に今のこの国全てを変革していきます。」と熱い眼差しで熱く語り続ける。











「もちろん国民の皆様には、選択の自由があります。

 自らの生き方や今後生きていく国を、決断し選択して下さい。


 ただし一つだけ

今後の選択の為、国民の皆様に伝えるべき言葉として

『この国が、ここまで変わらなければならないという事を、自覚してほしい。』という現実です。


 もうこの国は、変わらざるを得ませんが 

 

 しかし

これからの為、この国は新しく生まれ変わるのです。」と、希望に胸を膨らませているかのように、声高らかに話していた。











 彼は演説の中で、例えとして、

「この世は椅子取りゲームのように、決められた限りある席を私たちは取り合う。

 

 だがしかし

椅子を取り合い生きている『プレイヤー』である我々人類は

何かを考え、何かを生み出す力がある。


 もし椅子が減り続けて、足りなくなっているのならば

私たちは人類であると胸を張り、ゲームの概念に囚われず、自由な発想を持って思い思いに新しく創って、その足りない分を補えるように生み出していけばよい。」

この世の中を、椅子取りゲームのように例えて表現し








 この国の今後の在り方を話していく。

「技術が身を亡ぼす事は在るかもしれないが

それは、技術を扱う『人間の器』が問われる事で、その扱う『人間の器』による。


 その技術を扱えるだけの人間であれば

何も問題はなく身を滅ぼす事はないと考えています。

 私個人としては、技術が身を助け、この国を救うと『カクシン』している。」

 彼はそう言って

世界に対して『この国は数で劣るとしても、質で勝っていこう』とした。
















 そして

その男は

「最後ではありますが、時代の先駆けとして

今回この場を利用し皆様に披露しますのが、こちらの商品であります。」と言った彼の手には、何やら『皮のようなモノ』が握られていた。






 よく見て見ると

手にしていたのは『人の皮らしきモノ』で、彼はいきなり『それ』を被り始めて






 すると

先程まで目の前に居た筈の中年代の男は、瞬時に全くの別人となり、突然目の前に若い青年の姿をして現れた。


 彼は

そのままの姿で話を続けていき

「これは、その名も「化けの皮」通称『BK』と呼ばれるものです。

 詳しくは、国益に関わる極秘情報ですので、お話する事はできませんが

これは、1人1人の皮膚から創り出していくので、誰にでも安心・安全です。」

そう力強く自信に満ちた表情で、彼は断言し、国民や世界に対して宣言した。




「今後この商品の名称は、『BK』で統一していきます。

これこそ、新しい時代の幕開けであり、第二の文明開化の始まりとなる商品です。


この商品を開発する為、20年程前からずっと極秘裏に研究を進めて参りましたがやっと完成してようやく商品化へと成功する事で、今こうして皆様にお披露目して日の目を見られる日がやって参りました。


 そして

この商品の開発を足掛かりに、今後我が国は、大幅な改革・変革をしていきます。

これからの我が国は、技術大国としての未来を切り拓き、世界の先々を行きます。

我が国は、技術で世界を席巻し、世間の我が国対する意識を一変させます。 

 さぁ、この国はこれから、新しい時代の幕開けを迎えます。」

 彼はまた、声高らかに画面の向こう側にいる全てに対して宣誓する。







「国民の皆様には、最後までご清聴して頂けました事、誠に有難う御座います。

 心よりの御礼を、申し上げます。」と堂々とした表情で宣言して締めくくり

彼は深々と、頭を下げた。






















 その映像を最後に、このゲリラ的放送の【就任演説】は終了した。























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