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初めの話「刺青とバカ笑い」

時代が少しだけ遡ります。

多少乱暴な描写ありますが、強烈な表現ではないと思います。


初めの話・刺青とバカ笑い





今から20年以上も前の話になりますが、


横浜の関内に、

ひとりで行って、ただ座っただけでも

3万円以上軽く取られてしまう高級クラブが

(トップ指名のホステスの采配で変わります)

軒を連ねて幅を利かせていた頃、


そんな店でホステスをしていた高給取りの女の子が、あるヤクザ者と結婚しました。



レスラーの蝶野正洋サンを

ハンマーで叩いて、軽く潰した感じ。


身体中に墨が入って、

その背中は龍の和彫り。

父は勿論、母もそれに劣らぬ龍が彫ってあり、


三人並んで背中を向けると、

ひとつの大きな図柄になるように

大胆な構成がされていました。


左手の小指が無いのですが、薬指もありません。


同じ指を二回、最低でも三回は飛ばしています。


酒乱で、手がつけられない、どうしようもない暴れ者で、それが指を詰める原因になった事もありました。





そんな奴と結婚して

極道の妻となった元ホステス、

きっと凄い姐さんを想像するのでしょうが、




これが実に

オバQの妹、P子を連想させる雰囲気の顔立ちで、何とも可愛らしい。


しかも冗談が面白い。

甘ったれた喋り方をする、

子供みたいな性格の女の子。







旦那さんの事を

マコチャン‥と呼んでいました。

どこが良いのか理解できません。

家でもやはり、酔って気に入らないと大暴れをして家の中はぐちゃぐちゃ。


そして殴る蹴る。


そのままプイッと出て行ってしまうようですが



暫くして酔いがさめると


「ブーメラン・マコト」


と言いながら花束を持って帰って来るそうです。


そんなゴツイ顔の

不器用な男に垣間見る

不器用な愛情表現が

捨てきれない所なのでしょうか。






ツンデレ効果??







P子は

ムカつくから、寝てる間に後頭部剃って黒く塗っておこうか、とか、マジックで刺青の続き描いちゃおうか、なんて事を言いながら笑いとばします。




こんな稼業をしているから

いつどんな危ない目にあうか、


自分が、家事などの

やるべき事をサボったら、罰が当たるかもしれないと、決めた事はしっかりやる、などのような

“ げんかつぎ ”をよくしていました。





別れなさい、という

まわりの心配をよそに、



とうとう

赤ちゃんを身ごもってしまいました。






かたや、福富町



東京でいえば、銀座と新宿を小さくしたような物が関内と福富町でしょう、と言う人もいます。




その福富町で、

ボーイズバー(ホストクラブの低料金タイプ)と風俗店を何軒か経営している

おっさん。



容姿は、

名脇役、笹野高史サンをまん丸顔にした感じ。





芸人のように人を笑わせ、

指紋がなくなる位に手を擦り合わせ、


小さいからだに大きな声で存在感をアピールしていました。






ホステスを見つけると


「男前いますよ~

ストレス発散しにきて~なんでも言う事聞きますからさぁ~、

あっ、お客さんに連れてきてもらって~、

ふんだくってバックするよ~

うっひゃっひゃっひゃ」



男の人を見つけると


「うちで遊んでってくださいよ~、うちは、ばばぁ、中年、年増と選り取りみどり、

うっひゃっひゃっひゃ」



ホステス達は、そのおっさんを、へなちょこじじぃと呼び、

よくからかって笑っていました。


「じじぃ、なんか買って来い」



「ハイッ喜んで~うっひゃっひゃっひゃ」


癖の悪い輩に絡まれそうになるとあっという間に消えてしまう。

逃げ足だけは自他共に認める、超一流です。












この、へなちょこじじぃのおっさんと

暴れん坊ブーメラン・マコトの間に、

事件が起こります。




次の話に続きます。


ヤクザ、じじい、母親、妻、

本当の意味での強さと弱さを持つ者のお話しでした。

ありがとうございました。

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