邪魔物
さぁて、奴等に落とし前をつけてもらうとして、どこら辺で相手をするかだな。
今いる場所じゃ、奴等を相手にするにはちょっと狭い、もう少し広い場所を探さなくちゃな。
奴等に、俺がただかわいい、ふわふわのもこもこじゃないってことを教えてやる!
そうしてしばらく森の中を走っていると、開けた場所が見えた。
あれくらい広さがあれば殺れるか?
奴等も直ぐ後に来てるし……、いっちょ殺りますか。
「キューキュッ!キューキュッ!(バーカ!バーカ!)」
「キューキュキュキューッ!(たんさいぼう!)」
種族が違うと言葉は通じないが、それでもニュアンスと言うか、イントネーション的なモノはなんとなく伝わる
『ギャーッ!ギャギャギャギャッ!!』
『ギャギャッ!ギャッギャッ!!』
『ギャーッギャッ!ギャギャッギャッ!!』
おー♪怒っとる怒っとる。おーこわいこわい♪
あんな安い挑発に引っ掛かっちゃって、ホントお馬鹿さん♪
「クキュキュキュッキュキュッ、クキュキュキュキュキュッ!(悔しかったら捕まえてみ!)
『『『ギャギャーーギャッギャッ!!』』』
完璧に頭に血が昇ってるな。
目の前の開けた場所に出た俺。
直ぐ後に迫るゴブリン共。
馬鹿め!此処が貴様らの墓場だ!
走っている勢いをそのままに、目の前にある木に突撃していく。
『ギャッギャッ!』
それが貴様の遺言だ!
木に当たる少し手前で跳び、前に廻って木に足を着き、後ろのゴブリンに向かって体を捻って頭から突っ込む。
今、必殺の「「「角兎突貫」」」
説明しよう!角兎突貫とは、角兎による物凄い頭突きのことだ!!
『ギギャッ?!』
狙い違わず先頭の一匹の額に角が命中し、絶命させる。
『『ギャッ?!』』
残りの二匹が驚いてる隙に、角の刺さったゴブリンを足で蹴り、角を抜いて跳びすさる。
『ギギッ!ギャッ!ギャッ!』
『ギッ!ギャギャッ!ギャッ!』
どうやら少しは危機感を持ってるらしい。
こちらの動きを警戒しているようだ。
だったら俺は……逃げる!
180度方向転換し、森の中に突っ込む。
『『ギッ……?』』
予想外だったのか、ゴブリンは立ち尽くしている。
『ギギッ!』
『ギギャッ!ギャッ!』
獲物を見失い、何かを話し合っている。
大方、コレからどうするかとか、そんなんだろう。
だが甘いな
ゴブリンが背中を向けた瞬間、足元にあった石を後ろ足でゴブリンの右側の茂みに蹴り飛ばした。
ガサササッ!
『ギャギャッ!』
『ギギャギャッ!』
案の定、頭の悪いゴブリン共は、石の飛んでった茂みに気をとられ、茂みに集中している。
今だ!
茂みから跳びだし、ゴブリンに向かっていく。
ゴブリンの背中にあと少しと言うところで、ゴブリンがこちらに気づく。
『ギギャギャッ?!』
『ギャッ!』
こちらに気付いたゴブリン二匹は、手に持った太い木の棒で俺を叩き潰しに来る。
ドカッ!バチッ!
木の棒は俺には当たらず、地面を叩いている。
俺の狙いが背中だったら、当たってたかもしれないが、残念ながらハズレだ。
オラァ!もうイッチョオォー!!
左にいたゴブリンの後ろの木に、さっきと同じ様に跳び着き、ゴブリンの頭めがけて頭から突っ込む。
『ギァ……?!』
『ギャギャギャッ!』
さっきと同じく、頭に角が刺さったゴブリンを蹴り飛ばして脱出。
直後に今いた場所に木の棒が振り下ろされる。
ズガッ!
木の棒が少し地面にメリ込んでいる。
おー、だいぶお怒りのご様子。
『ギャギャギャギャギャギャギャッ!!』
こう言う時は、三十六計逃げるが勝ち!
さっき来た道を全力で逆走する。
「クーキュキューッ!キュッキューッ!(あ~ばよー、とっ○ぁ~ん!)」
はぁーはっはっはっ!
『ギャーッ!ギャッギャッ!!』
相手のゴブリンも俺を絶対に殺すつもりらしい。
元から凄いが、さらに凄い顔になって追いかけてくる。
『ギャギャッ!』
ブオォン!バキベキッ!
『ギギャーッ!』
ブゥン!ベキドガッ!
『ギャギャッ!ギャギャギャギャッ!!』
ブオォンオオォン!バキバキベキッ!!
尻尾一つ分後ろを、怒り狂ったゴブリンの振り回す木の棒が通りすぎる。
まさかここまで怒り狂うとは、ちょっとばかり計算外だ。
それでも殺らなきゃ殺られるからな。
キッチリ殺らせてもらうが。
『ギギャッギャギャギャギャッ!』
そうだ、キッチリ追ってこいよ。
ゴブリンから逃げてきた道を、横に少しズレながら逆走する。
しばらく逆走していると、目的地の目印が見えてきた。
うっし、ここが正念場だ。
全力でいくぜ!
「クッキューーーーッ!(オラァァァーーーーッ!)」
『ギギャギャギャギャギャッ!!』
ゴブリンも俺が何かを考えてると思ったのか、さらに速度を上げて迫ってきた。
お互いが全力で走ると、僅かながらゴブリンの方に軍配が上がるようだ。
棲みか一の快足の俺が、全力の足の速さで負けるとは……。
徐々に尻尾一つ分の差が詰まっていく。
もう目的地は目の前だ。
『ギャギャーッ!!』
俺が動く気配を感じたのか、ゴブリンは大きく一歩踏み出し、俺めがけて木の棒を叩きつけてきた。
「クッキューキュキューッ!(アイ・キャン・フラーイ!)」
バギャッ!!
その攻撃を全力で前に跳ぶことで回避し、さらに目の前の目的地ーー横倒しになった大木の枝に後ろ足から着地し、枝のしなりを利用して、全力で突っ込んだ反動でゴブリンに向かって自分を打ち出す。
「クキュッッッ!!」
『ギギャァッ!』
木の棒を振り切ったゴブリンは、前に跳んでった獲物が、予想を上回る速度で自分に向かって飛んできたことに驚きつつ、しかし、それ以上反応できずに頭に獲物の一撃をもらい、絶命した。
おっ……、おぅ……ふっ……っ!
かっ……、体が……っ、吹っ飛ぶかと思ったぜ……。
まぁ、ゴブリンに当たらなけりゃ遠くまでぶっ飛んでたろうけど。
まあ何にしても、邪魔物(誤字にあらず)は居なくなったし。
改めて、モフモフを探しにレッツゴー!!