獣道
お読みいただき有り難う御座います。
目を開けたらそこには知らない天井が……なかった。
いや、天井どころか屋根すら無かった。
在るのは鬱蒼と生い茂った木々。
見渡す限りの大木の森林。
何処か遠くで聞こえる獣の声。
そして割りと近くで聞こえる別の獣の声。
『クキュキュキュキュッ』
あっ母さん、おはよう。
『クキュキュッ』
うん、今起きたとこ。
『クキュキュキュッ』
分かってる、頑張るよ。
『クキュキュッキュキュキュッ』
ははっ!心配性だな母さんは、大丈夫だよ。
『クキュキュキュッ』
母さんも知ってるだろ、僕が他の皆より足が早いのは。
『クキュッキュキュ』
うん、分かったよ、気を付けるから。
『クキュキュ』
ん、また会おうね。
さて、お聴き戴いた皆さんにはお分かり戴けただろう。
そう、俺の母親は人間じゃない、と言うか父親も人間じゃない。
俗に言う魔物、モンスターってやつだ。
種族は角兎と言うらしい。
フワフワモコモコの真っ白な毛、長く伸びたフサフサの耳、五センチ程の角、プニップニの肉球、フワフワモコモコの毛(重要だから二回言った)。
因みに、今日これから、今居る棲みかを離れて独り立ちするところだ。
それじゃあ行ってくるぜ!
次ここに顔見せに帰って来る時は、もっと大きいモコモコになっててやるぜ!
目指せモフモフの王!!
あぁ、後俺は【転生者】ってやつだ。
転生前は人間で、日本って何処に住んでたんだ。
田舎暮らししてたら森の獣道で熊に遭遇。
モフモフだーー!と、熊に突撃したら反撃を喰らい死亡。
熊の晩御飯に。
そして転生。
今に至る。
そんな訳で俺は、自らもモフモフの王に成り、且つ、モフモフを探す旅に出ることにした。
まだ見ぬモフモフを求めて、いざ出発!!
文章が短いのでチョクチョク更新していきます。