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☆第十九話 お誕生会

 愛奈まなの話題ばかりで恐縮だが、すでに彼女は我が家の一員として、その重要な部分を占める存在になりつつあるのだ。そんなことで、どうしてもはぶけないのだから、お許しをいただきたい。

 さて、お誕生ケーキのことは少し語らせてもらったのだが、その数日前が愛奈のお誕生会だった。とはいえ、赤ん坊の彼女がケーキのローソクを吹き消すことなど出来る訳もなく、実際のところは彼女以外の四人のパーティに他ならなかった。要するに主役抜きのドンチャン騒ぎである。現に、愛奈は開催中、スヤスヤと乳幼児ベッドで眠っておられたのだった。それはともかく、お誕生会は盛大に、とり行われた。愛奈が分かる年になっていたら、恐らく怒るに違いないと思われる浮かれようだった。父さんが気分を出そうと茶の間を少し装飾し、雰囲気を盛り上げた。

「お前は、この手のことは得手だなあ…」

 じいちゃんが見回しながらそう言ったのだが、確かに…と僕もそう思った。会社での忘年会や新年会、慰安旅行での彼の活躍ぶりはすさまじいもので、大よそ人々をして、これが父さんか…と疑わせるほどの余興だったらしい。まあ、じいちゃんも僕も、その姿を直接、見た訳ではなかったのだが、母さんの話によれば、どうも確からしかった。

「いやあ…」

 じいちゃんに褒められ、父さんは照れたが、まあ僕が茶の間を見回してもそう思えたのだから、あながち大げさな話ではない。とにかく、その華やいだ茶の間で飲めや歌え…これは少し大げさだが、そのパーティ模様となった訳だ。いつもはキッチンで食べる母さんの手料理も、お正月、クリスマスetc.と同様、茶の間へ運ばれ食された。愛奈が僕ぐらいなら、勝手にやってりゃいいわ…と、ふくれたはずだ。タマやポチもその恩恵に浴し、おこぼれを頂戴できたのだから、ニャ~! ワン! だったろう。愛奈は、ほんの少し顔を見せ、ほんの少しを戴いただけで寝かされたのだから、その盛大な模様を見られた訳ではない。むろん、見ていたとしても意味不明だったとは思うが…。約一時間半、行われたお誕生会も、かくして主役抜きの家族慰安に終始した・・というお粗末な湧水家の逸話である。外は一端、やんだ雪がまた舞い始め、寒い一日だった。

                   第十九話 完

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