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☆第十八話 育つ

 楽しかった冬休みも終わり、僕の気分は、またお通夜になっていた。相変わらず寒風吹きすさぶ中を日々、学校へ歩いて通わねばならないのもその理由の一つではあるが…。しかし、愛奈まなの成長が毎日、見られるというメンタル面のいやし効果もあり、そうはテンションが下がらなかったのは幸いだ。人は育つのだ。はぐくまれて育つ…まあ、育まなくても子は育つのだが、普通はすべてに言えることではないだろうか。社会に育まれて育つ。…父さんは別として、まあ言えるだろう。両親とじいちゃんという師匠に育まれて僕は育つ。末は博士か大臣か、はたまた著名人か…まあ、そんなことにはならないだろうが…。愛奈は母さんに育まれて育っている。これは誰もが認めるところだ。じいちゃんは? と腕を組めば、自然によって育まれ続ける尊いお方に思える。僕にはじいちゃんが人間とは思えないのだ。後期高齢者であの体躯、あの精神力、そして、あの行動力…とてもとても尋常の人とは思えないのだ。母さん…このお方も並みの人とは思えないふしがある。どう育まれれば、ほほほ…となるのだろうか。世界とはいかないまでも、日本七不思議の一つと言えるだろう。タマとポチは間違いなく僕によって育まれ、育てられている。彼らは僕を師匠、と思っているのだろうか。いや、いやいや…それはないだろう。大切にしてくれる人、よく見る人…くらいは思ってくれていると信じたい。

「あなたは食べられないからね…」

 と、バブバブやっている愛奈を横目にニタリ! とし、もっと食べられるのに、彼女は、ほんの少しを口に入れてもらっただけで、僕がケーキのかなりの部分をせしめた。早や、初めてのお誕生日が巡り、まぎれもなく愛奈は一才となったのである。お目出度いこと、この上ない。そのケーキを、せしめた僕は悪い兄だ。この借りは出世して…これは余り期待できないが、必ず返すつもりだから、今はバブバブとやっていて欲しい。この話の続きは後日、語らせてもらおうと思っている。


                               第十八話 完

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