第7章
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─命の契り─
残り時間はあとわずか――
迷宮を抜けた先に待っていたのは、光に包まれた女神の姿。彼女の目は涼を真っ直ぐに見つめ、微かに震えている。
女神:「木村涼……最後の条件をクリアできるかしら?」
涼は一瞬言葉を失った。
涼:「……条件?」
開発者の声が響く。
開発者:君たちが現実に戻るためには、女神に口付けをし、契りを交わすことだ。制限時間は残り3分。失敗すれば、世界は消滅し、全てが死ぬ。
涼は目を見開く。心理的に動揺する一方で、時間は刻々と過ぎる。
涼(心の中):そんな……恥ずかしい……でも……これが最後のチャンスだ……!
美咲の視線も画面越しに涼を追う。
美咲:「動揺するな。決断は早く」
女神は両手を差し出し、微笑む。その光景は神々しく、同時に柔らかさを伴う。
女神:「信じる心を示して」
涼は深呼吸し、指先の震えを抑えた。残り1分。
胸の鼓動が耳元で響く中、慎重に女神の手を取り、画面越しにその顔に近づく。
涼:「……これで、守ります!」
そして、そっと唇が触れる。
その瞬間、世界が眩い光に包まれ、迷宮の構造、魔獣、障害物――すべてが消え去った。
画面に現れた文字は、白銀に輝く。
システム:試練達成。現実世界への帰還を許可します。
涼は深く息をつき、椅子から体を起こした。
女神の姿はゲーム内で消え、だが心の奥には、その光と温もりが深く残った。
美咲もチャットでメッセージを送る。
美咲:「……よくやったわね。最後まで冷静だった」
現実世界の時計を見ると、制限時間をギリギリでクリアしていた。
涼は震える手でキーボードを離し、胸の中で小さくつぶやいた。
涼:「……生きて帰れた……」
次回も楽しみに