第5章
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─3時間の死闘─
涼は深呼吸を繰り返し、画面の中の広場を見つめた。
女神は無事だったが、開発者の声が頭に響く。
開発者:次の課題だ。制限時間は3時間。女神を安全に脱出地点まで導き、生き残れ。
涼:「……3時間!?もう時間が……」
チャット欄には仲間たちの緊張が伝わる文字が流れる。
大河内翔:全員、位置につけ。時間を無駄にするな。
斎藤ケン:準備はできてる。行くぞ。
美咲:焦るな。時間内に全てを計算する。
涼の心拍は早く、指先は冷たく汗ばむ。現実の時計も、心なしか早送りされているように見える。
3時間――180分。ゲーム内での一瞬も、現実では確実に刻まれていく。失敗すれば、現実世界に戻れなくなる恐怖が迫る。
「……よし、作戦通りだ」
涼は魔法と回復の準備を整え、仲間たちと共に脱出ルートを確認する。
広場を抜けると、巨大な迷宮が待っていた。敵は無数の魔獣だけでなく、罠や障害物まで配置されている。
涼:「慎重に……女神を守れ!」
美咲:「了解。前衛は私が担当する」
迷宮に足を踏み入れると、すぐに罠が作動した。光の柱が一瞬にして床を裂き、魔獣が飛び出す。
涼は魔法を撃ち、女神のHPを確認しながら、仲間に指示を飛ばす。
涼:「左に回避、ケンは前衛支援!」
時間は刻々と過ぎ、チャット欄に残り時間が表示される。
残り時間:2時間15分
焦りはプレイヤーたちを苛むが、戦略を崩すわけにはいかない。女神の安全と、仲間の命を同時に守らなければならないのだ。
迷宮の深部で、涼は突然気づいた。
「……これはただのゲームじゃない……時間制限も、障害も、全部心理戦だ……」
美咲がそっと囁く。
美咲:「涼、ここで動揺したら負けよ。計算通りに動く。三時間以内に全て終わらせる」
残り時間2時間を切った。迷宮の出口はまだ遠く、魔獣も増え続ける。
涼の指先が震えるが、瞳は決意に燃えていた。
彼は仲間と共に、女神を守り、3時間という制限の中で脱出を目指す――。
現実とゲームの境界が歪む中、秒針の音が耳に重く響いた。
この戦いに失敗すれば、二度と現実には戻れない――。
次回も楽しみに