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3話

『蒼炎と幻影の記録』


 木村涼――引きこもり気味の高校生。

 だがゲームの中ではギルド「ヴァルキュリア」の副リーダーとして仲間を率いる存在だった。

 ギルドマスターは冷徹な大河内翔、そしてライバルは獣魔使いの桜井美咲。

 彼らの青春は、仮想と現実の境界に閉ざされた瞬間から狂い始める。


 ゲームの開発者、向井山甲山が姿を現したのだ。

 「三時間以内に女神を救え。さもなくば、この世界も現実も消える」

 提示された条件はあまりに奇怪――女神を救う方法は“口付け”のみ。


 荒れ狂う試練の中、海には二百体ものボスが浮かび上がり、片目の巨獣ベアーが咆哮する。

 だが彼らを取り巻くのはモンスターだけではなかった。

 ドラゴン騎士団が剣を振りかざし、森の奥からはエルフの戦士たちが槍を構える。

 さらに仲間の中から裏切りの盗賊が現れ、血戦は混沌を極めた。


 その時だった。

 涼の胸の奥から蒼炎が迸った。

 燃え上がる青い炎に驚愕した賢者エルハルトは告げる。

 「それは勇者の力。世界を導く炎……だが均衡を崩す業火でもある」

 涼は震える拳を握り締めた。

 ――この力は、仲間を守るために振るう。


 やがて舞台は魔法学校へ移る。

 そこでは「ポイント制」による授業と試練が待ち受けていた。

 新たに現れたロボット探偵クロノが、冷徹な論理で事件を解析していく。

 幻影の試験では、美咲が獣魔使いとしての才能を解き放ち、涼の蒼炎と共に試練を突破する。

 だが「幻影術」を操る者の影は、確かに背後で蠢いていた。


 試験を終えた彼らは冒険者都市リュミナリアへ。

 武具店、魔道具店、酒場に溢れる喧騒の街。

 中央の掲示板に、一つだけ赤い封蝋の依頼があった。


――【黒影の獣 Aランク依頼 古代遺跡にて消息不明者多数】


 翔は眉をひそめるが、クロノは依頼札を外す。

 「幻影の影と類似。調査開始を推奨」


 涼、美咲、翔、クロノ。

 そして彼らを翻弄し続ける“幻影の術”。

 冒険者都市から古代遺跡へ――その扉が、いま開かれようとしていた。

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