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第2章

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─ログアウトできない夜─


涼は今日も学校を終え、いつものように部屋に閉じこもった。

ディスプレイに映るヴァルキュリアの街並みは、昼間よりも光を帯びているように見える。だが、胸の奥にわずかな違和感があった。


「……なんだ、この感覚……」


ログイン直後、操作感が少し重い。キャラクターの動きが、彼の指の動きに完全には追従しない。

チャット欄に目を向けると、仲間たちのメッセージが妙に遅れて流れてくる。


大河内翔:涼、具合は大丈夫か?

涼:……え?なんだこれ、画面が固まったのか……


慌ててログアウトボタンを押すが、反応はない。

「ログアウト……できない……?」


心拍が速くなる。画面の向こうでは、美咲のアバターが静かに涼を見つめていた。

その目は、ゲーム内の演出ではなく、どこか現実の意志を持っているように感じられた。


「まさか……現実にも……?」


涼が意識を手元から離すと、部屋の温度が少し変わった気がした。呼吸が重く、頭がふわりと浮くような感覚。

スマホを手に取り、時計を確認する。時刻は変わらない。画面を消しても、VR機器を外しても、体の奥にゲームの感覚が残る。


まるで、自分自身がアバターと一体化してしまったかのようだ。


その瞬間、チャット欄に新しいメッセージが流れた。


システム:ログアウトは許可されません。クエストを完了してください。


「な……!?どういうことだ……!」


涼は背筋に寒気を感じ、椅子から立ち上がろうとする。しかし、部屋の四隅が揺らぎ、現実とゲームの境界が歪み始める。

魔獣討伐やランキング戦の興奮が、今は恐怖に変わっていた。

ゲームはもう「遊び」ではない。ログアウトできなければ、彼はこの世界に閉じ込められてしまう――。


画面の向こう、美咲のアバターが微笑んだ。

「……ようこそ、本当のゲームへ」

次回も楽しみに

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