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第12章

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血煙の中の影


ベアーが地に沈んだ瞬間、森の奥から低い笛の音が響いた。

その音は哀しみを帯びつつも鋭く、竜の咆哮さえかき消すほど強かった。


ざわめく木々の影から、数人の人影が現れる。

重い鎧に覆われた者、布のように軽やかな装束を纏った者、そして顔を覆面で隠した者。

彼らの瞳はいずれも深い決意に燃えていた。


「……遅れて悪かったな」

覆面の男が槍を引き抜いたエルフに向かい、静かに言葉を落とす。


瞬間――炎が爆ぜた。

現れたメンバーの一人が片手を掲げると、森の地面が割れ、炎の柱が竜を包み込む。


ドラゴン騎士団もエルフも一様に動きを止め、その異質な力に目を見張った。


新たな仲間の登場は、絶望に傾きかけた戦況を再び揺り戻そうとしていた。


ベアーの巨体が崩れ落ちた。

その光景に息を呑む間もなく、森の奥から駆け寄る足音が重なった。


「おい! まだ終わっちゃいねえだろ!」


鋭い声と共に現れたのは、剣を背負った青年プレイヤー。

続いて大盾を構えたタンク役の男、後方から光を帯びた杖を握る女性プレイヤー、そして二本の短剣を操る暗殺者風の少年が姿を見せる。


「遅れて悪かったな。……ベアーの分まで暴れるぞ」


仲間たちは素早く布陣を組み、即座に戦闘態勢に入る。

彼らの装備は現実の肉体に反映される「生死を分かつ鎧」。

怯えも迷いもなく、ただ仲間を救うために刃を構えていた。


ドラゴン騎士団の黒竜が咆哮を上げ、エルフの槍が一斉に構えられる。

だが新たに加わったプレイヤーたちの瞳には恐怖はなかった。


「……これでやっと五分だ」


大盾の男が前に立ち、黒竜の息吹を受け止める。

その隙に剣士と暗殺者が森を駆け抜け、杖を持つ女性がベアーの亡骸に光の結界を張った。


戦いは、仲間の死を無駄にしないための「第二幕」へと突入する――。

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