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 あのパイセンから「祝いたまえ!合格だ!君たちに感謝する!」とのマナグラムを貰ったのが遠い日のようだ。

 連絡すなっちゅーのに。

 パイセンを今度こそ丁寧にブロックした海流達も、無事最終学年に上がれる事となり春休みに突入。東雲兄弟達やソシャゲのフレンド達とゲームで心ゆくまで遊び倒し、やがて新学期がやってきた。


「ふぁぁ〜」

 海流があくびをしながら伸びをする。

「あふぁ、伝染すルからあくびはダメで……ふぁ〜」

「ふぁ〜あああ」

「ハハっ!うつれうつれ」

「「モーっ!!」」

 あくびを移し合いしながら3人は通学路をだらだらと歩く。

 櫻井魔導学園に続く通学路は海流達と同じく歩きだったり、馬車や車通学の生徒でごったがえしている。


 新学期初登校日だから皆通学路を使っているわけではない。

 海流達だって転移陣を使って学園の生体認証ゲート前まで飛ぶ予定だった。


 しかしひとつの噂が春休みに学園の生徒中に広まったのだ。


 新しき「第1皇位継承者は警護の者もつけずに1人で電車に乗り、徒歩通学されている」と。


 神璽の皇位継承順位が繰り下がった事も春休みのうちに公になったようだ。


 だったら「天使」様にご挨拶をしたい、無理ならせめてその御尊顔を拝みたいと言う生徒が現れてもおかしくない。

 おかしくなさすぎて今、海流達も興味が勝ってしまい櫻井のタウンハウスで東雲の兄弟と待ち合わせて3人で歩いて来てしまった。

 電車に乗るのが久しぶり過ぎて3人が3人とも、密かにはしゃいだのは内緒である。

 かといって特に「こいつが第1皇子?」という奴とは一緒にならなかったと思うが、まあそんなものよ。


 想定外だったのは「皇位継承者が2人もお通いになることになってしまった」おかげで警備が今まで以上強固になり、ゲートの生体認証が1人ずつになってゲート前が生徒でごったがえしてしまう事態に陥っている事だ。


 認証行列に並びながら海流はまた1つあくびをする。


「だっる。こんな事なら早めに出るか転移陣使っときゃよかったぜ、歩いたから足も痛ぇし『嵩逝』様?には会えねーし」

「たかが駅かラ2キロじゃないでスか」

「『モンクエ』じゃズっと歩き回るクせに」

「ゲームは別腹」


 とはいえ道中で「モンクエGO!」の新たなモンスター、しかもSSRレアをゲット出来たのは行幸なので海流は上機嫌だ。


 海流はニヤつきながらゲットしたモンスターのステータスを開こuto

「ぶべら」

 横からすさまじい衝撃を受けて海流は吹っ飛んだ。


「「海流サン!?」」

 周囲に東雲の兄弟の悲痛な叫びと他の生徒の悲鳴がこだまする。


 ガシャーン!と

 ものすごい轟音をたてて海流が突っ込まされた学園の壁が崩れ落ちた。


 しかし幸いかな。

 学園の壁も、海流に突っ込んだ自転車も、なんかいろんな加護や防御機能が内包して縫製がされている制服も、櫻井謹製で無ければ不思議な相互作用で衝撃を吸収できず、壁も海流も自転車も皆大破していただろう。

 櫻井謹製さまさまである。


 辛くもスマホだけは激突から死守したものの、痛みに声も出せずに悶絶する海流に


「ごっめーん☆ユラ、自転車とか初めて乗ったから止め方分かんなくってぇ☆」

 テヘペロな軽いボイスが降って来た。


 その少女とも少年ともつかない印象的な、いつぞやどこかで最近聞いたことがあるような能天気な声の主は、海流の体にめり込んだ自転車をバキバキ引き剥がしながら口に輝く白い歯と鋭い犬歯を覗かせて、ケラケラと笑った。


「でも門限に間に合って良かったー!。この学園って遅刻したらゲート閉じちゃって入れなくなるんでしょ?。始業式から欠席とか、りじちょーに叱られちゃうもんね☆」


『『もんね☆』じゃねーわ!」

 海流は痛む体をさすりながら、瓦礫の山から四つ這いで身を起こした。

 すかさず声の主へ振り仰ぐ。


 海流の記憶が確かならば、声の主は相変わらず黒ずくめだった。


 ケープ付きマントこそ羽織っていないが、黒い靴、黒のスラックスに黒のベルトを腰にダブルで締めて、ベルトに黒革製の四角いバッグを吊るしている。

 ネクタイも黒、胸の膨らみの無いぺたんのシャツも黒、シャツにはヴィクトリア風デザインのビジュータックピンとそれに付随したチェーンに逆さ十字のロザリオを通して下げている。

 黒皮のショートグローブも相変わらず白い肌によく映える。

 そしてショートの黒髪に黒のワイヤーグラスをかけたその「青年」は、こんな状況下にあっても息を呑むほどに恐ろしく美しい天上の微笑みを浮かべ、長いまつ毛をぱちぱちとさせて吸い込まれそうなほどに煌めく金色の瞳で真っ直ぐに海流を見下ろしていた。


「ひぁ……あ?」

 なんだ?これ……、「美の暴力」って奴か?。

 海流のこれまでの人生で、神と対峙した時でさえ見たこともない、光り輝く存在に畏怖してたじろぐ。

 こんなにも目を引く存在なら普段の生活ですら視線の公害で息をする事すら差し障りもあるだろう。

 この御尊顔なら闇魔法の下にも隠したくもなるわけだ。

 その代わり


「頭、イ、イかれてんじゃね?アンタ」

 海流は思った事を素直に口にした。

「人を跳ね飛ばしておいて謝りもしねーとか、ないわー」


 海流の正論に青年はキョトンと目を丸くすると、それすら麗しい……じゃなかった。相変わらず飄々とした軽い様子で


「えー?ごめん☆って言ったじゃん?。てか、ニンゲンってこれくらいで怪我するんだっけね」

 そう言って腰に下げたバッグから真紅のトロリとした液体が入った試験管を取り出すと、栓をキュポンと抜き、自身の艶やかな唇に当ててクィッと液体を飲んだ。


「『解放(リーディング)』」

 呟くと同時に、青年が纏う雰囲気が変わった。

 ゲームならまるで「ジョブチェンジ」でもしたかのように。


「はい。『パーフェクト・ヒール』っと」

 青年は海流の方へ手をかざすと無詠唱で回復呪文を唱える。


「ヒール」ではない。「パーフェクト・ヒール」だ。

 ポゥ……と、かつて一緒に冒険を共にしたことがある聖職者のザフトの「患部の一部が暖かくなって徐々に痛みが引いてゆく」とかそんな陳腐なものではない。

 唱えられた側から瞬時に海流の「全身から痛みが全て消え」たのだ。

 それは体の奥にくすぶっていた眠気すら吹き飛ばした。

 パーフェクト・ヒールとはたとえ先ほどの事故で海流が骨折や大怪我をしていたとしても瞬時に癒してしまうような強力な治癒魔法だ。

 それらは青年が並の術師ではない事を意味していた。


「それ『枢機卿猊下』とカ、『聖女様』ガお使いになル呪文でスよネ」

 美の衝撃からなんとか立ち上がった夏日が尋ねる。

「皇都で聖女様に『奇跡』を魅せテいただいた事がありマす」

 体を起こそうとしている海流を支えて、春日も青年に聞いた。


「ん?そーだっけ?。保温ボックスからテキトーに取り出した奴だから、聖女ちゃんのだったかな?どーなんだろ?」

 青年はしげしげと空になった試験管を摘み上げて、見る。

 腰のバッグはミニ保温庫だったようだ。なんらかの魔法薬を保存していた……のだろうが、この青年がズボラなのかラベルすら貼っておらず


「んー?ユラ、わっかんない。ま、再会のサービスって事で許そうよ?ね?」

 ケラケラと笑って詳細は濁した。

「ま、治ったならよしっと。『封印シール

 青年は空の試験管を無造作に腰のバックに戻した。


 おそらく海流のマジックバッグと同じで、必要なものを欲した時に使用者の思考をなぞって取り出せるマジック保温ボックスなのだろう。時間停止も付いていると海流は思う。

 迦允と知り合いのようだったし、もしも迦允の手造りだとしたらこちらもまた国宝クラスに違いない。

 この青年と迦允がどのような関係なのかますますミステリアスである。


 出来損ないの息子だが、ここははっきりさせとかねーとな。


 海流はパンっと、既に自己修復を始めた学園の壁から出た石クズを払いながら立ち上がると、ギッと青年を睨んで向き合った。

 美しいものは、うん。見慣れさえすればなんとか耐えられそうだ。


「俺様は再会したくもなかったがな。

 で?アンタは一体何様だ?何でここに居る?。まさかあの日の『取り引き』をチクリに来たわけじゃねーだろうな?」

「『取り引き』?」

 青年はまた不思議そうに首を傾げて海流を見た。

 それからハタと思い出した様子で「ああ!」と海流を指差した。


「あー、アレね!違うよー。ユラはユラと同じ古代魔法好きの子に悪い子は居ないって信じてるし?。

てか君こそ、誰?」

「は?」

「前に会った子だとは思うけどー?名前までは聞いてなかったし?だーれ?君」

 青年はニコニコ笑顔で海流の自尊心を抉る。


 クソ親父はたしかに仕事に家庭は持ち出さないし、逆に家庭に仕事を持ち込まない野郎だがコイツ……、親父の知り合いっぽい空気を出しながらまさかこの俺様を知らねーで対峙していた、だと?。

 階級社会舐めとんのか?。

 俺様はこの皇国の筆頭公爵、宰相の「櫻井迦允」のご子息様だぞコラ!。


 沸騰しかけた怒りをなんとか納めて海流は名乗ってやる事にした。

 せいぜいビビり散らかすがいい。


「ふっ。俺様はこの櫻井魔導学園の、理事長の息子の櫻井海流だ」

 念には念を入れておく。

「この皇国の宰相で『四天王』と呼ばれる筆頭公爵櫻井迦允の長子だぜ」


「ユラは響だよ?」

 響と名乗った美青年は海流の名乗りに特に動じた様子も無くコロコロと鈴が鳴るように笑った。


「短歌にも聞く逢坂の関の『あい』に野原の『』、玉響の響くで『ゆら』。

『逢野響』。もう一回言うよ?『あいのゆら』でーす♪。

 爵位は多分子爵だったかな?。陞爵の話はよく貰うんだけどねー?メンドイから全部スルーしてる。


 そんな感じで、この春からこの学園の古代魔法学の教鞭を取る事になりました!。

『逢野せんせー』でも『響せんせー』でも、なんなら『響ちゃん』とでも気安く呼んでくれていいよ。

 これからよろしくね!えーっと…サクライ!の息子の……サクライくん!」


「先生?」

 だと?。


 思わず心の声が漏れた海流に響はぴょこんと元気に可愛らしく手を挙げて。

「はーい!響先生です!」

 どうだ!と言わんばかりに挙げていない方の手を腰に当て、えっへんと胸を張る。


「カイルさん、大変でス!。しカも」

「逢野先生ワ僕達ノ担任でスって!」

 春日と夏日はそれぞれのデバイスで検索した結果を海流に見せた。

 その櫻井魔導学園の紹介ホームページには確かに『新任教諭』、海流達のクラス担任として響の名前が掲載されていた。


「はぁぁぁぁぁぁ?????」


 聞いてないが??。

「聞いてないが?」

 たしか万年最下位Fクラスの担任は高等部に上がってから持ち上がりのまま、変わる予定はなかったはずだが?。


「うん、先週ねじ込んで貰ったばかりだからね。でも加納先生も響と同じ古代魔法の研究者だったし。『非常勤になっちゃうけど〜?響が抜けた皇立魔術研究院の穴を加納先生に埋めて貰いたいな〜?』っておねだりしたらめちゃくちゃ嬉しそうに代わってくれたよ?」


 そりゃそうだろう。

 魔法を納める者なら誰もが一度は所属を夢見る皇国の魔法研究最前線の座を斡旋されて頷かない魔術師は誰一人として居ない。

 ビビる者も居るだろうが、あの授業熱心な加納の先公ならやって行けるだろうと海流は思った。

 いや、問題はそこじゃなかった。


「Mais pourquoi? 」

 もはや海流は皇国語も出ない。

 代わりに東雲の兄弟達が尋ねる。


「何故でス?逢野先生ほドの魔術師ガ」

「研究者ノ職ヲ蹴ってマでノ魅力が、我が魔導学園ノ教職にあるよウには思えマせんが」


 いや、東雲の兄弟よ。うちの学園の教鞭を取るのもかなりの難関のはずなんですけども。

 そもそも何故ねじ込める?。親父と知り合いっぽいがどんな繋がりがあるんだよ?。

 理事会も、クソ親父もなんで一個人のおねだりを承認してんだよ?。


 すると響は聞いていないのか聞く気もないのか3人を無視してキョロキョロと周囲を見渡し始めた。

そして何かを見つけると「きゃーぁ!」と叫び、海流に背を向けるとそちらの方へぴょんぴょんと跳ね、大きく手を振った。


「『しゅーくん♡』みーっけ!」


 海流達もつられて響が手を振る方向を見た。


 そこには今まさに認証ゲートをくぐらんとする1人の男子生徒が居た。


 長い銀色の尻尾を裾からのぞかせている男子用制服からして、亜人だろうか?。


 アイボリー色でフワッとした、まったくボディラインが出ない亜人用制服のケモ耳フードの下に見えるのは、ロングウルフカットにサラサラで艶ピカの、限りなく白に近いクールなシルバーヘアーだ。

毛先を少し遊んでいるのか淡い紫のメッシュが入っている。

 更にその光り輝いている髪に紫色のヘッドバンド型のイヤーマフを装着して、彼はそれはそれは嫌そうにこちらを振り返った。


 身長はゲートと比較した感覚では180㎝にちょい足らないくらいか?。

 シュッとしているその顔は透明なまでに青白く、眠そうな目の下には一生消えそうに無いほどの不健康そうなひどいクマがあった。


 ただ、目を見張るものがあるとすれば、白銀の長いまつ毛の奥にひとたび魅入られれば吸い込まれてしまいそうな、まばゆく深く光るアメジスト色の瞳と、響が蠱惑的な美青年なら亜人の彼は目の下のクマを差し引いてもなおすさまじいまでの傾国級の美青年であったという事だ。


 そう、青年だ。

 少年では無い。海流よりもおそらく上の雰囲気があった。社会人枠入学生だろうか?。

 とどのつまり、海流はこの生徒に見覚えが無かった。


 櫻井魔導学園はどうしても学びたいもの者の為に年齢制限を取っ払った社会人枠も有り、ともすれば最年少と、ある程度の年齢の生徒が机を並べる姿が見られる事もあるにはある。


 あともう一つだけ興味を引く点を上げるとするならば、彼の腕には可愛らしいウサギがデデンと抱かれていて、周りには小鳥達が歌い回り、足回りにも多くの小動物をゾロゾロと引き連れていた事だろうか。


 響はその陶器でできた人形のような青年を指差す。

「あの子はね『しゅーくん♡』。

 響、しゅーくんを迎えに来たんだ」

 一応、響に先ほどの3人の質問は聞こえていたようだ。


「唔係」

 キリッとした優美な美しい唇でそう言葉を紡ぎ、イヤーマフの生徒は首を振る。そして苛ついた表情を隠そうともせず響を睨み


「我 個名 寫成 『ユッ』『紫釉ジーヤゥ』、我 叫 月紫釉ユッ・ジーヤゥ


 と、深みのある甘いボイスで言った。


 言ったが……言葉の意味は読み取れない。

 海流には皇国語以外は、迦允がうっかり口にするリル・ダヴァル語の単語しか分からない。

 なんとなくでいいなら最近マナネットワークの普及で皇国への移住者がガンガン増えていると聞く西の国の言葉、かな?としか分からない。

 海流は東雲の兄弟を見下ろす。


「なんて?何?」

 海流の純粋な問いに、春日はふむふむと自分のあごをつまんで思考する。


「おそラくでスが、『月紫釉』さんとやラを逢野先生が『しゅーくん♡』と呼び、

『月紫釉』さんの方が首を振って『ユッ・ジーヤゥ』ト訂正されていルノで、

 紫釉さんは『名前の読み名が違う』ト言いたいノではないか?ト」


「へー」

 皇国でも北と南ですっかり言語が違うもんな。


「更に言エば西の国は世界の最果てデすし……西の国の国内デも発声も漢字表記も簡体字や繁体字など何種類かあっテ、更には読みや文法まで違う事もあるようデす」

「方言って奴か?」

 海流はヒュウと口笛を吹いて尖らせる。


「現地の方ニ顔合わせて言えまス?ソレ?死人が出まスよ」

「え?そんなレベル?紛争起きんの?」

「少なくトもソコでワ」


「なんでー?『しゅーくん』って可愛いじゃん?。シュークリームみたいで。皮がふわふわして甘いのが入ってて美味しいんでしょ?。響、食べた事ないけど」

 響が心の底から不思議そうに思っている声音で首を傾げると、紫釉はまるで乃蒼が海流を見るような……。

 つまるところゴミを見るような蔑んだ目で響を見た。


「仆街」


「ハイ。ゴーグル音声翻訳かけマした。『死ね』だそうデす」

「サンキューゴーグル」


「もぉー、お口悪いよ。しゅーくん♡」

 さりとて響は気にした様子も無くふふっと笑うと自転車などすっかり忘れたかのように放り出し、紫釉が大きな舌打ちを吐き捨てて尻尾をしたんしたんと振りながら潜り抜けて行ったゲートへ、軽やかに追いかけて続いて入って行った。


 あの先公は他人の地雷原を踏み抜いて行くのがスタイルらしいなぁ。

 置いていかれた3人は同じ感想に至る。


キーンコーンカーンコーン。


 校門生体認証ゲート前にて。

 いつのまにか他の生徒達は認証を終え学園内へ入校し終えていた。

 はたと気づけばたった3人になっていた海流達を残して刻限のベルが鳴る。

 するとどうなる?。


「「「あ、あ――――――っ!!!」」」

 海流達は顔を見合わせ、揃って叫び声を上げたが時すでに遅し。


 無常にもゲートはシャットダウンされ魔法&物理障壁の多重ロックが掛かる。

障壁に守られた門は幾度叩いても跳ね返されるだけでうんともすんともいわず。もちろん学園内に転移陣などは持ち込めないし使えない。

 転送魔法ならば春休み前に響と出会った時、彼は堂々と使っていたような気もするが、警戒レベルが上がった所為で使用不可になったのか、今になってはもうわからない。


 兎にも角にも3人は新年度早々より、始業式から不登校者の烙印を押される事となった。


 逢野響氏が単身で、華々しい職を辞してまで学園に入り込んで来た目的も、響と迦允の関係も、「嵩逝」様の御尊顔も3人は何一つ分からないまま。


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