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4 お祭りリベンジ


ダニエルとの散々なお祭りの翌週、セオと会った。


今日はリベンジと言わんばかりに、

あの日着られなかったお気に入りのワンピースを着ている。


「ミア、それ前に『買ったー!』って言ってた服か?」


セオのナイスな指摘に、ミアは目を輝かし力強くうなずく。


「そうなの!

着ているだけでも元気が出るのに、

クローゼットに掛かってるだけでも幸せな気分になるの!」


「へえ〜」


「お気に入りだからって言うのもあるけど、

明るい色のおかげかも」


ピラッとワンピースのすそを掴んで揺らす。



「あー確かに。元気出るよな?」


「そうなの!」

分かってくれる!嬉しい!



「可愛いし、いいじゃん」 



あまりにサラッと『可愛い』と言われたので、

びっくりした。

嬉しいやら恥ずかしいやら…なんだか照れる。


「あ、ありがとう」


クスクス笑われた…弄ばれてる気分。

ミアもやり返してみる。


「セオも、いつも素敵よ?」



セオは急に話を振られ、目を開いてビックリしている。


「まじ?

あんま数ないから、いつも似た様な感じになるんだよ」



「大丈夫、イケメンは何着てても許されるから」

(冗談じゃなくて、まあ普通にイケメンなんだけどね)



からかわれていると思ったみたいで、目を細められる。

「そうか?サンキュー」


二人でクスクス笑い合った。




しばらく話して、ミアはいつもより早めに席を立った。


「私、今日はそろそろ行くわ」

「ああ、今日は早いんだな」



「…うん。先週のお祭りは…あまり見られなかったし、

このあと出店をぶらっと見てから帰ろうと思って」


お祭りは終わっても出店はしばらく出たままなので、

このあと一人で覗きに行こうと思っていたのだ。

お祭りの思い出が、あんなのだけって…嫌すぎる。



セオは少し考えてから訊いてくる。


「ふーん。なら、俺も行って良いか?

この前はチビ達のお守りがあって、

ほとんど見られなかったんだよ」

 


セオも、ちゃんと見られなかったのか…

なんとなく親近感を感じた。


ちょっと気の毒になって快諾する。


「そうだったのね。それなら、一緒に行きましょう!」



「おう、じゃあちょっと待ってて?すぐ準備する」

そう言って、カバンを取りに行った。



ひとりで行くより安心なので、

セオの申し出は素直にありがたい。


『どんなお店があるんだろう?』と、

ワクワクしながらセオを待った。




***



二人で散策していると、いい匂いがあちこちから漂ってくる。


ミアはウキウキしながら、あちこち見回す。

あれもこれもと気になっていて、すれ違う人と肩が当たった。



強くは当たらなかったが、セオの方にフラついてしまい

反射的に上着をつかんでしまう。


「あ!ごめん、セオ」

(焦った…こけるかと思った)



「あ〜まだそこそこ人が多いな。

ミアが良いんなら、そのまま上着つかんどけ」


サラッとセオが言ってくれる。


「…え、うん。ありがとう」

なんだか落ち着かない。

ただセオの上着をつかんでいるだけなのに…。



ふいにセオが聞く。

「なんか食う?」


「え?食べたい!いいの?」



セオは不思議そうに

「祭りに来たら食うだろ?どれか食いたいのある?」と

訊いてくれる。



嬉しい!しかし突然言われて、あわあわする。


「えー?アレも気になるし…

あ、あっちのも見た事ないし…凄くそそられるわ!」



セオがチビ達と同じだと、クスクス笑い出した。


「じゃあまずアレ見に行ってみるか?

種類も色々あるみたいだし」



「じゃあセオと違う種類のを買ったら、

ちょっとだけ交換していい?

種類が多い時って、違う味のも興味があるのよ」


(セオは嫌がるタイプかしら?)

訊いてから、少し不安になった。



「あ〜分かる。どんなんか気になるよな?

それに2種類制覇したみたいで、得した気分になるし」



(セオったら、私と同じ事考えてる!)

嬉しくなって、笑顔で同意する。


「そうなのよ!

それに私の趣味のお菓子作りの参考にもなるの!」



良い事を聞いたとばかりに、

「それなら、色々食って作ってもらわないとな?」と

セオがイタズラっぽく笑って言った。



「食いしん坊ね〜」

お姉さんぶって言ってみる。すると…


「お互い様だろ?」ニカッと笑われた。


(すごく楽しい!)


アレもコレも…と

ワイワイ言っているだけでも楽しくて、

ミアは自然とたくさん笑った。


不思議なくらい時間があっという間に過ぎていく。


ミアはもっと時間が欲しいと思った。



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