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3話 ナンセンス・ガールズ

「ナハトさんのご主人様は、どんな方なのですか?」

 いちごは左手に綿菓子。右手に私を抱えながら訪ねた。先ほどからこのいちごという少女。本当によく食べる。焼きそば、たこ焼き、クレープ……ここまでの道中、屋台を見つけると必ず並んでいる。

 この小さい身体にどうやって入っているのだろうかと不思議だ。

「そうだな、一言で言うなら、幸福を具現化した様な人だよ」

 私は月を見上げ答える。夜がどれだけ深まっても、街の喧騒は鳴り止まない。まるでこの活気は、ご主人が作り出しているのではという錯覚に陥る。それくらい、この夜はご主人に似合うのだ。

「きっと素敵な人なのですね」

「ああ。私は彼女の傍にいれる事を、とても名誉な事だと思っているよ。君の主人は?」

「私も一言で言うなら、ルシルさんは意地悪ですね」

 いちごは頬笑む。その表情は主人に対する愛おしさが込められていた。

「こうして私が迷子になっているのも、いじわるだからだと思うのです。」

「ははは、それはどうかな。」

「だって彼、私の事も食べてくれないのですよ?」

「なっ!? 食べる!?」

 私は驚く。この少女、涼しい顔で何て事を言うのだ!

 私とて、人の生は短かったものの、猫としてそれなりの時間を生きてきた。そういった知識ももちろんある。知識はあるが……

「ナハトさんは、ご主人に食べられたいとは思わないのですか?」

「い、いや私は騎士としてご主人にそんな感情は……」口が上手く回らない。顔が熱い。脳裏にはご主人との入浴した時の、透けるような白い肌が頭に浮かぶ。……あ、あれは不可抗力だ! 私は誰かに叫びたくなった。


 人の記憶が戻ってからは、彼女の過度なスキンシップに困っている。……いや、思えば私が人間の頃から、彼女はよく――。そこで私の脳裏は焼き切れそうになった。

「き、君はナンセンスだ!」

「ふふっ。ナハトさんは可愛いですね」いちごは可笑しそうに笑う。

「……やれやれだ」どうしてどの女性も、私が困る言葉を言うのだろうか。









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