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月(あれ)は私(バニー)がいただきます  作者: 三七十 十六
第一章 始まり
17/54

気が狂いそうだ 6分の4

 坂の上の山の中、大きな岩の上にいるじゃじゃっ娘5人組は流れ星を眺めていた。


「けっこう流れるわね」

「キレーイ」


 しかし、そう長く観ていられるものではなかった。季節は秋も終わろうとしているのだ。風も岩も冷たい。


「ねぇ、そろそろ帰らない?」


 穂実の意見に皆賛同した。


「あらっ、志帆ったら寝ちゃったのね」


 午前1時は7才児には遅すぎる。


「この子の眉毛、司令に似てない?ちょっと濃いところとかさ」

「えぇー、そうかなぁ?全然思わない。でもカワイッ」


 志帆の寝顔は母性をくすぐるようだ。


 四人で協力して、志帆を背負って帰っていった。


 トンネルの入り口まで来たときだった。敢太と山部が乗った車と鉢合わせた。


「あら。流れ星は見られた?」


 山部は窓を開けて声をかけた。敢太は車を止めた。


「はい、たくさん見られました。志帆はいつの間にか寝ちゃいましたけど」


 志帆は瑠美の背中で寝息をたてていた。


「あら可愛いーー!風邪引かないように気をつけてあげてね」

「はい」


 車は先にトンネルに入った。


「じゃあ、明日の午前中は皆でアルバム鑑賞でもしましょうか。睡眠不足じゃ、訓練にならないでしょう?」

「わかりました。でも、勇樹たち三人はトレーニングです。じゃないと歩かせた効果が無くなりますから」


「おやすみなさい」

「おやすみ」


 山部だけを降ろして、敢太はトンネルを引き返して行った。


 トンネルの中ほどで、じゃじゃっ娘たちを見つけて停車した。トンネルの内部は電灯があり、人の顔をはっきりと見分けることができる。


 双方止まって顔を合わせた。


「ありがとう、おかげで予定通りだ」


 敢太は瑠美に、幸四郎たちを外出させてくれた礼を言ったのだ。


「おやすみなさい」


 瑠美は無愛想に歩き出した。敢太は窓から首を出して付け足した。


「明日の午前中、一緒にアルバムを見ないか?花木商店から持ってきたんだ。食堂で」

「わかったー、おやすみー」


 最後に返事をしたのは奈央だった。




 じゃじゃっ娘たちはトンネルの行き止まりに着くと、羽菜が切り出した。


「アルバムを取りに行くのに車を使うのは分かるけれど、どうして夜なの?それに優理奈さんも乗ってた。どうしてかな?」


 誰もが抱いた疑問だが、触れずにいた。しかし、羽菜は少し意地悪をしてみたくなった。


「ねぇ、瑠美は何か聞いてなかった?」

「何も聞いてないわよ。私たちが外出することは連絡したけど、敢太たち(あっち)のことは何も。あんた、なんでそんなこと訊くのよー。明日本人に訊いてよね」

「だってー、ぜったい怪しいじゃん。瑠美も思うでしょ?」

「何も思わない!」


 奈央も加勢して瑠美を刺激すると、瑠美の顔がみるみる赤くなっていく。


「ちょっと瑠美ちゃん、声でかいよ。志帆が起きちゃう」


 穂実の綺麗な声に諌められ、瑠美は沈黙した。何でも気兼ねなく言い合える仲間にでも、言いたくないことだってあるのだ。


6分の5へ、つづく!


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