気が狂いそうだ 6分の4
坂の上の山の中、大きな岩の上にいるじゃじゃっ娘5人組は流れ星を眺めていた。
「けっこう流れるわね」
「キレーイ」
しかし、そう長く観ていられるものではなかった。季節は秋も終わろうとしているのだ。風も岩も冷たい。
「ねぇ、そろそろ帰らない?」
穂実の意見に皆賛同した。
「あらっ、志帆ったら寝ちゃったのね」
午前1時は7才児には遅すぎる。
「この子の眉毛、司令に似てない?ちょっと濃いところとかさ」
「えぇー、そうかなぁ?全然思わない。でもカワイッ」
志帆の寝顔は母性をくすぐるようだ。
四人で協力して、志帆を背負って帰っていった。
トンネルの入り口まで来たときだった。敢太と山部が乗った車と鉢合わせた。
「あら。流れ星は見られた?」
山部は窓を開けて声をかけた。敢太は車を止めた。
「はい、たくさん見られました。志帆はいつの間にか寝ちゃいましたけど」
志帆は瑠美の背中で寝息をたてていた。
「あら可愛いーー!風邪引かないように気をつけてあげてね」
「はい」
車は先にトンネルに入った。
「じゃあ、明日の午前中は皆でアルバム鑑賞でもしましょうか。睡眠不足じゃ、訓練にならないでしょう?」
「わかりました。でも、勇樹たち三人はトレーニングです。じゃないと歩かせた効果が無くなりますから」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
山部だけを降ろして、敢太はトンネルを引き返して行った。
トンネルの中ほどで、じゃじゃっ娘たちを見つけて停車した。トンネルの内部は電灯があり、人の顔をはっきりと見分けることができる。
双方止まって顔を合わせた。
「ありがとう、おかげで予定通りだ」
敢太は瑠美に、幸四郎たちを外出させてくれた礼を言ったのだ。
「おやすみなさい」
瑠美は無愛想に歩き出した。敢太は窓から首を出して付け足した。
「明日の午前中、一緒にアルバムを見ないか?花木商店から持ってきたんだ。食堂で」
「わかったー、おやすみー」
最後に返事をしたのは奈央だった。
じゃじゃっ娘たちはトンネルの行き止まりに着くと、羽菜が切り出した。
「アルバムを取りに行くのに車を使うのは分かるけれど、どうして夜なの?それに優理奈さんも乗ってた。どうしてかな?」
誰もが抱いた疑問だが、触れずにいた。しかし、羽菜は少し意地悪をしてみたくなった。
「ねぇ、瑠美は何か聞いてなかった?」
「何も聞いてないわよ。私たちが外出することは連絡したけど、敢太たちのことは何も。あんた、なんでそんなこと訊くのよー。明日本人に訊いてよね」
「だってー、ぜったい怪しいじゃん。瑠美も思うでしょ?」
「何も思わない!」
奈央も加勢して瑠美を刺激すると、瑠美の顔がみるみる赤くなっていく。
「ちょっと瑠美ちゃん、声でかいよ。志帆が起きちゃう」
穂実の綺麗な声に諌められ、瑠美は沈黙した。何でも気兼ねなく言い合える仲間にでも、言いたくないことだってあるのだ。
6分の5へ、つづく!




