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ヒロインはHAPPY ENDを阻止したい  作者: ゆきんこ
第一章
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初対面

 乙女ゲーム「光のプリンス」攻略対象者は5名。

 

 強国ソレイユの第一王子、ルフレ様、現在9歳。第二王子、エタンセル様、7歳。

 それから、我がメルキュール国の第一王子であり私の従兄、オロールお兄様、8歳。

 現在は登場していないけれど後々一緒に留学生として接することになる隣国の第一王子と第二王子。

 

 どんなに記憶をたどってみても、ルリジオン王子の名前はない。

 オロールお兄様には第二王子である弟がいるし攻略対象ではなくても登場する人物はいるのに、ソレイユ王国には他に王子がいる様子もなかったのだ。


 ルリジオン王子に遭遇した日、早速私はお兄様たちに彼の事を探ってみた。


「お兄様たちはルリジオン様にお会いしたことはありますの?」

「あぁ、あの末の弟の?」

「あまりないよな?」


 お兄様たちはお互いに顔を見合わせて確認している。


「確か、漆黒の髪は聖職者として育てられるんじゃなかったっけ?」

「そう、でしたわね……」


 黒髪はこの世界ではかなり珍しい。漆黒の髪と呼ばれるその人たちは特殊な魔力を持っているため見つかり次第魔道士として教育を受けたり、身分の高い者は聖職者として国の安泰を祈る存在になるのだ。

 考え込んでいると、お兄様がからかうように言ってきた。


「もしかしてエテルネル、ルリジオン王子狙いか?あんなにくっついて回ってたルフレ王子じゃなかったのか?」

「えっ!我が国の立場を強固たるものにするには、出来ればルフレ王子と…若しくは私と…ごにょごにょ」

「ちっ違いますわ!私はそんなつもりじゃ……!」

「あんまり人懐っこい性格じゃないから難しいと思うぞ~」

「ですからっ!」

「あ、でもこの時間なら礼拝堂で祈りを捧げているはずだから行ってみたらどうだ?」

「礼拝堂は礼拝自由だったはずだしね。静かに行くか終わるまで待っていたら……」

「わっ私!少し歩いてきます!」


「……わかりやすいな」


 飛び出すように礼拝堂を訪れた私。


(思ったより人がいる……)


 祈りを捧げているのは王侯貴族の方や騎士団、侍女らしき人まで様々。

 私もその中に加わってもなんら違和感もないことに安心して静かに前の方へ進む。

 この国の信仰の対象は代々の王族。中でも、国の危機を救ってきた王族がいるらしく、何体かの像が作られている。

 そして過去に国の危機を救った王族は全て、漆黒の髪を持つ者だったと聞いている……


(あそこにいらっしゃったわ)


 真ん中の、最前列。そこでルリジオン様が静かに祈りを捧げている。

 目を閉じて手を組んで祈っている様子は作り物の人形みたいに美しい姿に見えた。

 まだ、6歳の子供とは思えない落ち着いた姿に私は通常の馬鹿なことばかりしている周囲の同じ年頃の子供を想像して思わずため息が出る。

 家庭教師の持ち物を隠して笑い転げたり、着替え中半裸のまま逃げ出して侍女を困らせたり…それは王族とは思えない私の兄である。

 もしかしたらどちらも普通ではないのかもしれないけれど…

 そう考えながら私はルリジオン様の少し後ろで静かに手を組んで目を閉じ、祈りを捧げる。


「エテルネル……?」


 自分の名を呼ばれはっと目を開けると、祈りを終えたルリジオン様が私を見下ろして戸惑った表情を浮かべていた。


(えっ!?話しかけられてる!?ってか、私の名前知ってたの!??)


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