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ヒロインはHAPPY ENDを阻止したい  作者: ゆきんこ
第二章
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一夜が明けて

少しずつアクセス数が増えてとても嬉しいです。

更新の励みになります。

これからも見に来て下さると嬉しいです!

 ルリジオン様から魔王復活の真相を聞いた夜、私は一睡も出来なかった。

 私の事を嫌って避けていたわけじゃない事がわかったのに、それ以上に辛い事実を知ってしまった。

 考えれば考えるほど、悪い方向に思考が行ってしまう。

 はっきりとわかるのは、ルリジオン様は自分の命を犠牲にして魔王を封印することを覚悟してしまっていること。

 その魔王の復活はいつなのか?いつになるかわからないけれど、私が16歳になる3年後には……きっと魔王は封印されているということになるのだろう。

 そしてその世にはルリジオン様は……いない、可能性が高いということ。


 彼は、私に出会わなかったら自分を犠牲にしようとは思えなかったかもしれないと言っていた。

 つまり、私が関わってしまったから……ルリジオン様の運命を変えてしまったことになるのではないか?

 最低だ。私が彼の運命を変えたんだ。

 私が……


 嫌だ、死んで欲しくない。


 転生に気づいたときはヒロイン転生キター!どんな恋も思うままに幸せに生きていく!と軽い気持ちでいたのに。私は、今となってはこの世界のひとりの人間として。エテルネルとして、ルリジオンというひとりの人間を正面から捉えて向き合っていた。

 転生なんかどうでもいいくらい、この世界の人間として生きている。

 もし神様というものがこの世界にいるのなら。

 なんでもします。

 私と一緒にいてくれなくてもいい。だから彼の命は奪わないで。


(外が明るい……眠れなかった)


 眠れずに一夜が明けた。どう考えてもルリジオン様が命を落とさず、魔王も倒せる方法というのは私には全く見当がつかなかった。

 

 どうしたらいいのだろう。どうしたら。

 ルリジオン様に何と言えば死に向かう気持ちを変えることが出来るのだろう。―国を、民を犠牲にしてもいいから死なないで?……そんな事は言えない……望んでいらっしゃらない。

 私に同等の魔力があれば助けになるのだろうか?それならば、この国にいる漆黒の髪を探して集めたらなんとかならないものなのか?

 ルリジオン様の師は、国はずれに住むイムヌという漆黒の髪を持つ老人だと聞いている。

 その方なら力を貸してくれないのか?それは無理なのだろうか……


 そう思いながら私は礼拝堂に向かった。

 ルリジオン様は祈りを終えたところで、私を見てかなり驚きの表情を浮かべてはいたが避けることはせずに立ち止まってくれた。


「……何か用か?」

「あの……」



「……何を言い出すかと思えば……それは無駄なことだ」


 私の、他の漆黒の髪の力を借りることは出来ないのかという意見はあっさりと否定された。


「何故……ですの?」

「魔王は相手が絶命するまで魔力を吸い取る。だから、漆黒の髪の者の魔力によって次の復活まで数十年から数百年と差があるんだ。漆黒の髪の者が他にいたとしても魔王の復活までの年月が増えるだけで意味はない。イムヌ殿や関係ない者を巻き込むわけにはいかない」

「そんな……でもそうすると、ルリジオン様が犠牲にならなければならない理由もないと思います」

「私が逃げ出したらどうなる。国を守らねばならない立場の王族が、民を犠牲にして逃げてどうする」

「命まで犠牲にして欲しいとは、民も思いませんわ……!」

「それで多数の者が犠牲になってもか?何千何万という数の命を、たったの私一人の命で救えるのだ。安いものだろう」

「……納得、いきませんわ」

「漆黒の髪に生まれた運命だ」

「……嫌です」

「……」


 私は唇を強く噛んで下を向いた。ルリジオン様はしばらく言葉を発さなかったが、やがて低い声で言った。


「そんな話なら二度とするな。私が決めたことだ。いや、私だけの気持ちではない。この国、世界の全ての意思だ。覚悟を決めている。その気持ちを乱すようなことはするな」


 真剣に、拒絶の色が混ざった瞳で見据えられる。


「もう私に関わらないでくれ」


 ふいと、踵を返しルリジオン様はその場を立ち去っていった。

 それからまた冷たく無視される日々が始まり、私は途方にくれるのだった。


(これじゃ、ここに来た初日と変わらないどころか、もっと悪い方向に向かってるじゃない……)


 夜に会えないかと今度はバルコニーで待ち続けたがルリジオン様が通りかかることはなかった。

 更に最悪なことに夜のバルコニーで待つこと何日目かに、連日の寝不足で睡魔に襲われそこで寝てしまい危うく凍死しかけるという事件まで発生してしまった。


 芯まで身体が冷えて、でも眠気が私を包み込み気持ち良くなって……バルコニーの床にうずくまり薄れていく意識の中、誰かが抱き上げてくれる腕の感触がした。


(ルリジオンさま……?)


 そしてそこで私の意識は途絶えた。


冷たくされるシーンは必要な場面とはいえ書いていて悲しいです…。

甘い話が好きなので二人がラブラブなところを書きたいです笑

大まかなストーリーは決めているとはいえ、書いているうちに少しずつ話が動いていることもありどうしたらいいのか悩むことも出てきました。

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