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太閤秀吉  作者: 恵美乃海
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5 あの世の、信長

「儂は、あの世でな」


信長が語り始めた。


「いくさをしておる」


「いくさ、あの世ででもですか」


「ああ、なあ猿、あの世のいくさは面白いぞ。この世にある場所という限定はあるが、どの場所であっても戦場にできる。

あの世では、移動に時間はかからないので、数万でも、数十万でもたちどころに兵は集まる。


いくさは、もちろん、殺し合いだ。

だが、いくさで、命を落とした者も直ぐに生き返る。

いや、生き返るという表現は不適切か。あの世での、元あった状態に戻る。

何せ、もう死んでいるのだからな。それ以上、死にようがない。

あの世では、いくさを純粋に遊戯として、思う存分に楽しめる訳だ」


「はあ、なるほど」


「もちろん、この世で、違う時代に生きていた奴とも戦うことができる。

昔、生きていた奴も、この世の移り変わりは、しっかり見ているからな。今、どのような武器で戦っているかは、知っているのでな。条件は変わらぬ。

まあ、その武器をこの世で実際に使ったことがある奴が有利ではあるので、時には、平安時代様式で、飛鳥時代様式で、とか、その時代では、まだそれしかなかったという武器だけでいくさをすることもある。

縄文とかいう時代の様式で戦ったこともあったな。あの時は、儂も苦労した」


縄文、知らないな、どんな時代なのだろう。

秀吉は、思った。


「色々な時代の名高い武将といくさをしたぞ。足利尊氏、楠木正成、源頼朝、平清盛、平将門、坂上田村麻呂、天武、蘇我馬子・・・」


誰か有名な武将が抜けているような気がしたが、秀吉は、直ぐには思い至らなかった。


いくさはな、めいめいが勝手に行う訳ではなく、あの世なりにある時間と場所を決めて、大会という形で実施される。

リーグ戦、トーナメント、色々な形式がある。


「リーグ? トーナメント? 何でございますか」


「ああ、あの世では、この世よりも南蛮人や、紅毛人と、話す機会が多いのでな。あっちの言葉だ。意味は・・・説明が面倒だな。捨て置け」


「はあ」


「リーグ戦では、それまでの勝敗の実績によってランク分けされる、儂は、もちろん、最強者が集まる、トップのリーグだ」


また、色々、訳の分からない言葉が出てきたな。まあ、前後の文脈で何となくは、意味は分かるような気はする。


「上様でしたら、もちろん、さようでございましょう。この日の本の歴史で、信長様以上の武将はおりますまい」


「・・・」


「上様?」


「ひとり、勝てない奴がいる」


この日の本の歴史の中で、信長様が、敵わない相手?


あの男か。秀吉は、信長の先ほどの話の中で誰が抜けていたかに気付いた。


「九郎ですか」


「さよう、源九郎義経。あいつのやるいくさは、訳がわからん。一ノ谷、屋島、壇之浦。やつのいくさは、儂もさんざん研究した。それでいくさに臨むのだが、あいつは、さらに意表をつく。こっちがばかばかしくなるくらいにな。奴のせいで、儂は、トーナメントでは、いつも第2シードだ」


「はあ、信長様が敵わない男がこの日の本におりましたか」


「おい、秀吉、誤解するなよ。儂は、義経にコンプレックスを持っている訳ではないぞ。

あの世ではな、国造りゲームといってな、まつりごと、統治能力を競うゲームもあるのだ。

義経は、いくさの天才ではあっても、政治はまるで駄目だな。子供と変わらん。

いくさと、まつりごと。このふたつを合わせれば、この儂が、日の本一の英雄であることは、紛れもない」


「さようでございましょうとも」


そうだ。この豊臣秀吉は、日の本一の英雄に仕え、間接的ながら、その英雄を倒したのだ。


「いくさのことだが、世界大会というのもある。あらゆる時代の、世界中の英雄が集まってくる。壮観だぞ。儂は、むろん、日の本代表で参加する」


「ほほう」


「世界の英雄といっても、大概の奴は、俺の相手ではない。だが、アレクサンドロスとか、チンギス・ハンとか、勝てない相手はいる。世界地図を見て、そやつらが、どれだけの広さの土地をおのれの領土としたかを見ると、この信長が気後れするのだ」


なるほど。この信長様がなあ。世界は広い。


「おい、猿、そこで変に納得しているんじゃねえ。誰のせいでこうなったと思っているんだ。お前と光秀が結託して、本能寺でこの儂を倒したからだろうが。

そうでなければ、儂は、アレクサンドロスや、チンギス・ハンがやったくらいのことは、やれたのだ」


「も、申し訳ございません」


豊臣秀吉は、かつての主君に平服した。




お読みいただき、ありがとうございます。また、文章とストーリーに、5ポイント付けてくださった方。ブクマ登録してくださった方、ありがとうございます。

これまで投稿してきた小説で、全く無かった訳ではないのですが、ほとんど無かったのでとても嬉しいです。

贅沢を言えば、感想もいただけたら、などとも思うのですが、これについては、以前、私の娘ふたりが姉妹で、二次創作のサイト(たしか、「戦国無双」だったと思います。)を運営しており、相当のアクセスがあり、ランキングも上位になっていたのですが、

「お父さん、感想やコメントは、なかなかもらえるものじゃないのよ」

と、言っておりましたので、仕方ないか、とは思っております。


昨日は、結局、PV 934 ありました。

歴史ジャンルで、日間ランキング36位になっていました。

嬉しくて、PC で、その画面を出して、スマホで撮影して、私のやっているfacebook に、アップしました。

今朝、起きて、早速ランキングを見てみたら、36位近辺に無かったので、やはり落ちたか、と思ったら、21位になっていました。

感激です。娘に自慢できます。


もっとも、このランキングか維持できるとは、思っておりません。これから、落ちていくでしょう。

でも一度でも21位になったというのは、今後の励みになります。

皆様、ありがとうございました。

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