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ぐーたらな龍少女と理を紡ぐ錬金術士の少女  作者: 雪野湯


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クレーム

 今日も今日とて豚が()く。


「ぷぎぃぃぃ! 悔しいのじゃぁぁぁ!」


 豚の鳴き声に呼ばれ、ミュールが怒鳴り込んできました。


「アスカさん! うるさいですよっ!」


 怒声とともにアスカの部屋に訪れると、アスカはパソコンのおいてある机の傍で転がり、バタバタと手足を振るい暴れています。

 近くには椅子が転がっているので、暴れて転げ落ちたのでしょう。



「もう、アスカさん。何をやっているんですかっ?」

「だって、だって、こいつらが卑怯なのじゃ!」

「こいつら?」


 アスカはパソコンの画面を指さしています。

 机に転がったヘッドホンからは銃声や爆発音が響いてきます。

 ミュールはゲームに疎いですが、画面の映像からなんとなく何が行われているか理解しました。


「戦争のゲームですか?」

「そうなのじゃ。聞いてほしいのじゃ」


 アスカは芋虫のように畳を這い、ミュールの足首に纏わりついてきます。

 

「ちょ、アスカさん。気持ち悪いっ」

「ミュールよ。あいつらチーターなのじゃ。あり得ない場所から狙撃してくるのじゃ。絶対絶対、チート野郎なのじゃっ!」


「チートってたしか、不正なツールを使いゲームを有利に展開することでしたっけ?」

「そうなのじゃ! もう、いっそ中華鯖を専用に作ればいいのじゃ! 他のチーター共もまとめてそこに放り込めいいのじゃ!」


「それだと、真面目にプレイしている中国の方が可哀想でしょう」

「え……誰が真面目なプレイを?」


「やめましょう、十四億の民を敵に回すような発言は。それにチーターは人種問わず世界中にいますし。サバがどうのこうのではどうにもなりませんよ」

「たしかにの。全員のモラルが高まることを祈るしかないの」

「ま、とにかくゲームごときで発狂しないでくださいよ」

「ゲームごときじゃと? 今のは聞き捨てならぬ。ゲームは遊びじゃないのじゃ! ゲームはっ」


 

 ゲームを馬鹿にされたアスカは、急に興奮しだして、声を荒げ始めました。

 ですが、ミュールは気迫をもって言葉を押し返します。


「でしたら、アスカさんが頭を下げますか?」

「うん? 頭を下げる?」

「ご近所から、うるさいって苦情が入ってるんですよ」


「ご近所? 何を馬鹿なことを。周りは森で、ワシら以外誰も住んでおらぬではないか?」

「森には獣や魔物、お化けに妖精、エルフにツチノコとたくさんの人たちが住んでいるんです!」

「何か最後にUMAが混ざっておった気がするが、そやつらから文句が来ておるのか?」

「ええ。あちこちから。一昨日なんか、ホントに嫌な言われ方したんですからっ」




――ある日、森の中


「あら、ミュールさん」

「あ、これは熊のクレムさん。こんにちは」

「ええ、こんにちは。そういえば、今ミュールさんのお宅に同居人の方がいらっしゃるそうですね」

「はい」

「その方がいらしてから、『静かだった森』が『とっても賑やか』になりましたわ」

「え、あ、その、うるさくして、申し訳ありません」

「いえいえ、そんなつもりじゃ。とても楽しそうで羨ましいです」

「っ……そんな、ことは……すみません……」



――――



「こんな感じで嫌味言われてるんですよ! 情けないやら悔しいやらっ。あんまりにも悔しいから、思わず私、あの場でクレムさんをぶん殴ってやろうかと思ったくらいなんですから!」


「ぎゃ、逆切れはいかんぞ、ミュールよ」

「誰のせいですかっ!?」

「そ、それは……」


「とにかくっ、もう少しご近所の目を考えてください。今度苦情を言われたら、アスカさんを連れて謝罪行脚させますからね!」

「う、それはちょっと嫌なのじゃ」

「そう思うんでしたら、これからもう少し感情を抑え、」



『失礼、誰ぞおらぬか?』



 玄関先から、男の声が聞こえてきます。お客様でしょうか? それとも……。

 ミュールは声を聞いて、肩を落とします。


「また、苦情かも……アスカさん、しばらくゲームはやめて、静かにしていてくださいね」

「わ、わかったのじゃ。しばらくの間は静かにしておくのじゃ。どちらにしろ、徹夜で眠かったからのぉ」


 そう言って、畳に放りっぱなしの茶色のブランケットに身を包みます。

 そして、早くも寝息を立て始めました。

 小さく息を漏らす幼い少女の姿は、とても愛らしいものです。

 ですが、ミュールにとっては……。


(人の苦労も知らないでっ。いつか、泣き叫ぶくらい痛い目に合わせてやりますからね!)

 

 腹立たしいことこの上ない寝姿。

 だけど、相手は龍。

 人の手ではそう簡単には傷つけることはできません。

 

 ミュールは薬を専門とする錬金術士。

 そんな彼女が、武器の研究にも着手することを心に固く決めた瞬間でした。

ア「評価、嬉しいのじゃ。お礼にミュールのパンツをあげるのじゃ」

ミ「あげませんよっ! 何を言ってるんですか!?」

ア「サービスのつもりで渡しても良かろうに」

ミ「良くありません!」

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