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幻想駆ける雷獣の願いごと  作者: 倉里小悠
Starting the Fantasia
3/6

falling

1話1話が短くなってるけど、キリがいいので投稿しちゃう病気

「うおおおおぉぉぉぅぁぁぁあああああ!!?」


 ゴーゴーと耳元で響く風切り音に、俺は悲鳴をあげざるを得なかった。

 事前の調べで怖いって聞いてはいたけどさすがにこれは怖すぎるだろおおおおおおお!!


「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬううううううっ、俺死ぬううううう!!」

 ゲームとは言えこれはVRゲーム。リアルさが売りのゲームなわけで。

 命の保証がされていたとしてもバンジージャンプが怖いのは当たり前なわけで。

 ロールプレイも忘れて素が出ちゃうのも致し方ないよね!?


「ぬおおおおおおお、地面見えて――って、地面じゃねえっ!!?」

 クール系美少女フェイスで情けない声をあげながら雲の晴れた前方に見たのは、一面の青。

 そう、青だ。一面の。



「う、うみぃぃぃぃいいいいっ!!?」

 ランダム地点でのランディングだって言ってはいたけど海の上は無いだろ!? 死ねと!? 死ねとおっしゃりますか!?

 ナレーションの女の子が『この世界にようこそ! とりあえず死んでね☆』って言ってる気がしてくるぜチクショウ!!

 死んでたまるか! 死んでなるものか! 初ログインで死に戻りとかふざけんなよ!! てかこの場合リスポーンはどこになるんだよ!?


「うおおおおおお気合いだああああああああ!!」

 男は度胸! 今は女だけど!

 今できることなんかなんも知らねえけどやってやるぞおらあああああああ!!


 取りあえず手足を動かして落下地点をまともな場所に……いや速度を落とせば水は怖くないんだっけか!?

 んじゃあ取りあえず上に行くように空気を掻いて――ってこれじゃただ単にジタバタしてるだけじゃねえかっ!

 ああでもねえこうでもねえ……ああああああ何にもできねええええええ!!

 気合いで何とかなるなんて誰が言ったんだバカヤロぉぉぉおおお!!



「ああああああああ誰か助けてええええええええええ」

















 シーン……








 分かってたよ! こんな海上に助けなんか来るわけがないって!



「あああああもおおおお無理だあああああああああああ」

 終わった、終わったよ俺……

 一種の諦めの境地に至り、俺は目を閉じる。

 スキルとか一切覚えてないし、魔法も一切使えない俺じゃあ、無理だわ。







 クソゲーめ。

 怨嗟の声を心の中で木霊させながら、俺は岩のような硬い感触と共に意識を失った。


□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆


 ザザーン、ザザーン。



 ……



 ザザーン、ザザーン。



 ……



 ザザーン、ザザーン。



 ……











 バッシャアアアン!

「どぅおべあふあぁっ!?」

 冷たい水の感触に俺――じゃなくて私は思わず奇声をあげて跳ね起きた。



 くそっ、ゲーム内ではいかなる事態に陥ってもロールプレイを心掛けねばネカマ失格だぞ。しっかりしろ私っ。

「んんっ。落ち着け、落ち着くんだ私。今の私はクール系美少女。そう、足の速い美少女なんだ。集中しろ私。頑張るんだ私……淑女ならざらぬ奇声なんてあげてはいけないんだ……」

 普段からそれ相応の振る舞いを心掛けないとボロが出るからな。

 常に集中してロールプレイをせねば!



「ふぅ……よし、落ち着いた。それで、ここは一体ど、こ……?」

 落ち着きを取り戻しクールな表情で現状を考えようと思った矢先のことである。




 見渡せば、辺り一帯はすべて青だった。

 わーいすっごくみはらしがいいなー。

 せっかくのくーるふぇいすがだいなしだなー。





 絶海の孤島とはこういうのを言うだろうか。

 いや、これは断じて孤島ではない。そう、断じて。

 どこぞの島国はこれくらいのを島だと言い張ることもあったりするが私は断言しよう。これは島じゃない。認めるわけにはいかない。


 なぜって? 決まっている。





 小さすぎて今にも沈没しかけているからだ!




「死ぬ、死ぬっ! さっきも命の危険だったけど今は緩やかに死にかけてる! ゲームの中でぷかぷか太平洋横断とか断じてお断りだぞ!」

 でもさっき死んでリスポーンしたのがここだから絶対また死んでもここでリスポーンだよふざけんなああああああああ!!

 考えろ、考えるんだ俺! この無間地獄を抜け出す方法を! クソゲーのバグに飲み込まれない最良の一手を!!


「うおおおお、『開け』起死回生の道ぃぃぃ! じゃないとタカにまた『ゴマ』すりしなきゃ「――ガコンッ」いけな……く?」




 一瞬の浮遊感。





 下を見れば、さっきまで岩だったところが穴になっている。

 そのまま真っ逆さま。


「んぎゃあああああああああっ、また落ちるのかよおおおおおおおおお!!?」


 暗い穴の中へと俺は旅立っていった。

 何この危険の連続。誰だこれ神ゲーだって言ったやつ。


□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆








 ……景色がゆっくりになってきた。



 私が輪廻転生の解脱について考察を始めるくらいにまで悟りを開き心頭滅却すれば火もまた涼しの原理で落下速度を感じなくなった途端、急に落下速度が減少した。



 ……いや長すぎだから、なんかのイベントシーンだったとしても真っ暗な縦穴を落ちていくシーンがウルトラなマンが帰るまでの時間続くとか長すぎだから。カップラーメン食べたいぞチクショウ。


 さて、過酷な精神修行の後に辿り着いたのは一体どこなんでしょうね?

 できれば死の危険を感じないところだといいなあ……



 落下速度が完全にゼロになったとき、私は硬い岩を足の裏に感じた。

「ん、今回はしっかりした足場っぽいかな? お、若干明かりが見えるぞ!」

 見えたのは着地したところから伸びる横穴。その先に、白っぽい明かりがある。


「ふふふ……ようやく人心地つけるのか……助かった……」

 暗闇が人を恐怖に陥れるのと同じように、光は私に安らぎを与えてくれる……

 光があるということは人がいるという証!

 たとえイベントNPCだったとしても、今の荒んだ私の心のオアシスたりえるのだ!

 願わくば美少女であってくれ!!















 光の発生源は、バチバチとスパークする謎の透明な石だった。



「ですよねえええええええええええええええ!!」

 こんなとこに人がいるわけありませんよねえ!

 ほんと誰だこのゲーム神ゲーだって言ったやつ!!

縦書きと横書きじゃあやっぱ書く感じ違いますね

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