《ニアside》
ここは〈SEVEN・STRATUM LAB〉の地下5階。私達、ニア・フレイスと相棒である山吹色の瞳にエメラルドグリーンの髪でサイドポニーをしたエルフの女性レン・ツクヨはウィルが来るのを待っている。
この部屋はただ広いだけでそれ以外は何もない。訓練用の部屋なら機材や武器などでの傷がなければならいのにそれもなく、会議室なら机が並んでいなければならいがそれもない。
本当に広いだけで何もない部屋だ。
もしかしたら単に使用される前に大戦が終わっただけかもしれない。
「それにしてもニア、ほんとに来るの?」
「来るわよ。わざわざ高いお金を払ってまで嘘の情報流したんだから、むしろ来てもらわないと困るわよ!」
私のとなりに立っているレンの質問に私は質問に怒鳴りながら答えた。
「いや、確かにそうだけど、別に教会を何で抜けたか聞くくらいなら、おびき寄せる必要ってないと思うんだけど」
『それは私も同感です。彼にやましい事がなければ、正直に答えてくれるでしょうし、普通に聞けばよいのではないでしょうか?』
「そんなこと言われなくてもわかっているけど、あいつ私達の事避けて行動しているじゃない。それにもう、お金支払っちゃたんだし、今更でしょ」
彼女の持つ古代での大戦で“デュラン“が使用していた意思を持った武器“インテリジェンス・アームズ・レディアント“の一つ“紅蓮の弓・デュナメイス”が呆れているが私にとっては、今はそんな事はお構いなしだ。
「はぁ、何で目を放すとすぐに暴走するかな」
『基本的に真面目で良い子なんですけどね』
「あたしとしては、穏便に済ませたいけど、これはもう無理ね」
『ですね』
二人は私に聞こえないように言っているが、多分愚痴である事だけは理解できる。
『それにしてもマスター、この遺跡少しばかりおかしくないですか?』
「何がおかしいの? セラフィム」
彼女の持つデュナメイスと同じ“インテリジェンス・アームズ・レディアント”の一つ“聖雷の槍・セラフィム“の問いに私は問い返した。
『今まで誰にも見つからないようにカモフラージュしてあったわりには仕掛けがいささか単純な気がするのですが?』
「そう言えばそうね。最深部に来るまでにあったのは、モンスターとレベルの低い機械兵くらいで、わりとすんなり来られたしね。今までの経験から見ても、ここまで見つけにくくなっていたら、仕掛けも厳重なはずなのにね」
セラフィムに指摘された私はこの遺跡のカモフラージュと仕掛けの不釣り合いに、非常に強い違和感を覚えた。
ここに来るまであったのはモンスターを除けば、機械兵はスフィアに平べったい円盤状の“ディスク”と言った程度の低いものばかりだ。
その分ここに来るまで機械兵は無視してモンスターを相手するだけで後はセキュリティを解除するだけで余計な体力は使わずにすんだけど。
「それにしても……」
『また来ましたねっ!』
レンは弓矢を構え入口にやってきた来訪者を矢で射る。
射られた来訪者は声も挙げる事なくガシャンと言うと音ともに落下した。
「今度はどっちだった?」
「今回はスフィアね。ところでこれで何体目だっけ?」
『確か十五体目だったと思います』
『それにしても妙ですね? なにもない部屋に何度も何度も』
言われてみれば確かに妙よね? この部屋は本当になにもないのに。
それなにの機械兵たちは定期的にここにやって来るわよね?
にしても、凄い数ね。レンに破壊されて入口にたまった機械兵。
確か十五体だっけ? 結構薄暗し全く気配を放ってない百発百中一度も外さず当てて機能停止させるとは。
やっぱ、こう言ったところでも種族の差が出てるのかしら。
「あっ、言っておくけど機械兵に当てたのはエルフとしての特性だけじゃないから」
レンは肩をポンと手を置いてきた。
嘘でしょ!? 口に出してないのに!!
まさか、この子人の心が読めるの!?
「悪いけどそうじゃないわよ。結構考えてること、顔に出てる事あるから」
「えっ! 嘘ぉ!?」
「嘘じゃないわよ。前々から結構出てる事あったわよ」
レンの言葉を聞いて私はショックのあまりガクリと肩を落とした。
昔、あいつに言われて結構気をつけていたのに……
まさか、まだ治ってなかったの!? そんなぁ。
今からでも気をつけないとまた、あいつに嫌味に言われるに決まってる。
あいつの性格なら! 絶対に!!
昔からいつも、いつも、何かと付けて人に嫌味を……
あぁ、思い出してきたらムカついてきたぁ!
「おーい、ニア帰って来てぇ」
レンは私をなだめてきて、
『それより、レンが何で機械兵の気配を感知できたか話ませんか?』
デュナメイスが話題を戻した。
確かにエルフの特性だけとは言っていたし気にはなる。
エルフの特性だけじゃないなら私にもできる事かも知れないし。
「まぁ、確かに弓矢で射たのはエルフの特性だけどね」
あっ、そこはエルフの特性だった。
「人にしろ、エルフにしろ、それ以外の物にしろ、魔力を扱うものはなんにしろ、若干ながら常時魔力をから出るの。だから、ある程度魔力を扱えるものはそれを逆手にとって感知して相手の具体的な位置を確認できるのよ。エルフしかり、人間でも魔法さえ使えれば練習の積み具合できるわよ」
「じゃぁ、私にもできるんだ」
「うん、機械兵くらいなら。もうちょっと練習して集中すればね」
『えぇ、ニアならすぐにできるようになると思いますよ。集中すれば』
『マスターならできるようになります。集中すれば』
「それに機械兵などの無機物が放つ魔力はかなり独特だから一度感じ取れれば以降は集中する必要はないわよ」
なんか引っ掛かる言い方ね。まるで普段から私に集中が足りないよう言い方じゃない。
まぁ、練習を積めできるようになになるならいいけど。
でも、いつごろかしら? 一応聞いてみよ。
「それてどれくらいかかるかわかる?」
「ん~、まぁ、これは完全に努力しだいかなぁ?」レンは私から完全に目線をそらしながら答えた。
「えっ! あと少しっていなかったぁ?」
『いや、まぁ、こればかりは本当に個人差なんですよ。確かにニアの実力なら、あと少しとしか言えないんですよ。レンもできるようになったのは、二年前でしたし、生物のまで感じられるようになったここ数日の話ですし』
デュナメイスの私に補足の説明をした。その間レンは私に目線を合わせないようにしていた。別に私、怒ってないわよ!
と言うか、私ってそんなに怒りぽくって、集中力がないように見えるのかしら?
「うう……そう言うイメージは払拭したと思っていたのに……」
『“払拭”と言う事は昔から落ち着かない性格だったのですね』
セラフィムの鋭い指摘がグサッと私に貫いた。
くう……、墓穴掘った!
「まあ、ニアは最初会った頃からそんな感じだったよね。――小さい頃はどうだったの?」
興味があるのかレンは顔を近づけて尋ねてきた。大方予想ついているのか、口端がちょっと上がっている。
――その予想が当たっている事が悔しい。
「ふん! レンの想像通り、同じだったわよ。あいつがからかってあの人がそれを遠くから見て見ぬふり! 遠くから見てないで助けてくれればいいのに!」
『彼女ですか。随分と懐かしいですね』
懐かしい反面思い出したら腹が立ってきた。
「確かにあの人らしいわね」
『ですねぇ』
レンは懐かしそうにクスリと笑ってから――
「あと、ニアまた顔に出る」
「うそぉ!」
少し呆れた顔をしながら告げる。
あう、これじゃ絶対あいつに……ウィルにからかわれる。